Wind Mobility Japanで3月末まで代表取締役を務めた及川克己氏に撤退の理由について聞くと、「既に退職しているため、前職の内容について一切関知していない」と回答するにとどまった。だが撤退にはコロナ禍が大きく影響したようだ。同氏はSNSで「新型コロナウイルスの感染拡大が原因で、日本でのサービス運用を終了することになりました(原文英語:編集部訳)」と説明している。

「非3密」の移動手段として“黒船”たちは勢いを取り戻せるか

利用者がロックダウンや緊急事態宣言で外出できなければ、電動キックボードに乗ることはできない。そのため、海外の主要都市でサービスを展開する電動キックボード事業者はコロナ禍で大ダメージを受けた。

Lime・CEOのウェイン・ティン氏は10月に米テックメディアThe Vergeの取材で、コロナ禍ではサービス利用が最大で約95%減少したことを明かした。だが利用者は戻ってきていて、10月27日には累計ライド数が2億回に達したと説明する。2021年中には黒字化を目指すという。

一時は危機的状況に追い込まれるも、電動キックボードは「非3密」の移動手段として注目を集めている。7月にはイギリスでシェアリングサービスの提供が解禁された。日本でも「非3密」が合言葉となり、10月下旬に電動キックボードの公道での実証実験が実現している。

だが鳴り物入りで日本参入を発表した“黒船“事業者は、公道での実証実験にも参加せず、今後の事業展開も不明なままだ。「非3密」で国内事業者の動きが活発化する中で、彼らが勢いを取り戻すのはいつになるのか。