やりとりにはLINEや電話を用いる
やりとりにはLINEや電話を用いる

この事業をスケールさせていく上ではスタッフの採用と育成が重要なカギを握るが、その点については赤木氏が人材コンサルティング会社時代に培った研修ノウハウが活用でき、今のところはうまく機能しているそう。

実際にスタッフとユーザーが仲良くなった結果、一緒に釣りを行ったり、書道を習ったりといった形でサービスの使われ方もかなり拡張してきているという。

「お客様からは『できの良い孫のような存在ができた』『年齢を忘れて楽しく話せる』といった声を頂く機会も増えました。ヒアリングを通じて新しい社会的意義に気づくこともあり、(もっとメイトを通じて)世代を超えた交流を創造することにより、年齢にとらわれない新しい高齢化社会を実現していきたいという気持ちも強くなりました」(赤木氏)

プロダクトの性質上、ユーザーを騙す目的で悪意を持った人間がスタッフに紛れ込む可能性もあるが、それについても対策を講じていく方針。一例をあげると初回は必ず2名体制でユーザー宅を訪問してサービス説明を実施し、ユーザーを含めた3人のLINEグループを作成した上で日々のやり取りはそこで行う形を採る。

また初回以外にも定期的に専任以外のスタッフが同行(スタッフは経験などに応じてレベルが上がっていく仕組みで、最上位レベルのスタッフが同行)するほか、ユーザーに定期的に電話をして困りごとや疑問点をヒアリングしているそう。スタッフの採用においても面接とロープレテストを実施し、合格したメンバーのみが登録できるようにした。

実際にシニア宅を訪問しユーザーと接している様子
実際にシニア宅を訪問しユーザーと接している様子

AgeTech企業への進化見据え、CRMなどテクノロジーにも投資

日本ではもっとメイトのようなサービスで広く普及しているものがまだないため、この1年は「どのような形であればシニア世代のユーザーに受け入れてもらえるか」を時間をかけて検証してきた。

介護や見守りの側面が強くなりすぎると抵抗を示す人も多い。一方でサービスの認知度の低い段階で「何でもできます」と言っても、かえって何ができるのか用途がわかりづらかったり、中には怪しいと感じてしまったりする人もいる。

だからこそ“とっかかり”が必要で、それを模索した結果がスマホ出張サービスのようなデジタル支援だった。ただサービスをしばらく続けているうちに、継続して利用してくれるユーザーとそうでないユーザーの違いも見えてきたという。

訴求方法やサービスの見せ方については今後も検証を続けていくが、たとえばスマホの使い方ではなく「語学学習」などが入り口になったとしても成立しうると考えているそう。だからこそ趣味やバックグラウンドなども含めて「相性の良いスタッフ」をマッチングする仕組みが重要になる。