買収に向け約129億円を調達、「単純合算ではない“企業価値”つくる」

冒頭でも触れた通り、2003年創業のColemanではENS市場の先駆者として北米を中心にサービスを展開してきた。機関投資家やコンサルティングファーム、事業会社など300社を超える顧客基盤を持ち、専門家ネットワークの登録人材は26万人を超える。

日本に強みを持つビザスクと、アメリカを軸にネットワークを拡大してきたColeman。双方のデータベースが合わせれば、単純に専門家の数が増えるだけでなく、対応できる地域や言語の幅も一気に広がる。「ニーズがある一方で、グローバルの知見に直接アクセスすることは簡単ではない」という課題の解決策として、今回の買収によるデータベースの拡充は大きな一手となりそうだ。

統合プラットフォームのデータベース
データベースの拡充が本件の大きな効果の1つだ

またグローバルでENS事業を拡大して​​いくにあたっては「ローカルな言語対応や時差対応をどれだけ進められるか」も大きなポイントになると端羽氏は話す。その観点でも米国に加えてイギリスや香港など5箇所に拠点を持つColemanとタッグを組むことは大きい。

「我々としては、顧客から実際にいただいているグローバルな知見へのリクエストに対して、Colemanのエキスパートデータベースを用いながらしっかり応えていきたい。それは(ビザスクの)事業成長や生産性向上にもつながると考えています。一方のコールマンも、ビザスクと組むことで日本アジアの基盤が加わる。それが1つの差別化要素にもなり、既存顧客との連携強化や新規顧客開拓を実現できると期待しています」(端羽氏)

今回の買収にあたって、ビザスクでは第三者割当増資や借入を通じて約129億円を調達する。金額の規模などを踏まえても同社にとっては大きなチャレンジになると言えるが、端羽氏は「株式の希薄化をしっかり抑えた資金調達をしつつ、それ以上の業績インパクトや業績の拡大を実現できる」と今回の取引について説明していた。

財務サマリーについて
 
業績インパクトについて
あくまで直近の数値を単純合算したものではあるが、一株あたりの各指標も含めて大きく向上するという

 

ビザスクが見据えているのは、ビジネス領域における世界で一番のナレッジプラットフォームを作ること。今回Colemanと何度もディスカッションを重ねる中で、この思いが共通していたことや、それにあたって双方が「重ならない強みを持っていたこと」が今回の取引を推進したという。

「目指してるのは(現在の事業状況や実績の)単純合算の姿ではありません。コールとビザスクを合わせて40万人超のデータベース、世界7拠点、350人のメンバーでしっかりと事業シナジーの創出を実現し、単純合算以上の企業価値の向上を図っていきたいと思います」(端羽氏)