![ソフトバンクは2020年3月の5Gサービス開始にあわせて、コンテンツサービスを拡充している](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/-/img_133da688aad2214a04248645d60fde911685777.jpg)
リアライズのxRスタジオも、Beyond Carrier戦略における新たな産業向けサービスとなる可能性がある。xRスタジオは、現在は自社コンテンツのAR SQUAREでの利用が大半を占めているが、今後は外部のパートナーに開放し、コンテンツ制作の支援サービスとして展開していきたいという。
ソフトバンクでAR系サービスを統括する公文悠貴氏は、「5G LABは一種の事例研究として、さまざまなARコンテンツを展開してきた」と言及する。短期的にはARをファン向けビジネスにおけるプロモーションで需要があると見ており、例えば、「アイドルの生写真にスマホをかざすとARの立体映像が表示される」といった活用で、コンテンツの付加価値向上につなげられる可能性があるという。
![撮影してからおよそ20分ほどで3D映像が作成された。処理工程を省けばより高速に作成できるという](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/6/c/-/img_6c62b7fd0694e0a168f62837f801d3c42047297.jpg)
高速で通信できる5Gデバイスの普及によって、動画を中心としたエンターテインメントの世界にも変化が起こるだろう。ARの普及は、その進化の1つの方向性として有望と言える。ソフトバンクのAR SQUAREでの取り組みには、ARコンテンツがより普及した段階で制作から配信まで展開するプラットフォーム化を見据えての試行錯誤という意味合いもあるだろう。
![3Dモデルを生配信するサービスを近日中に提供予定](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/a/1/-/img_a18e98aa04fe85d25cd1a3b472d41c1e1365495.jpg)
スマホ上でのAR体験については、技術的素地も整いつつある。スマホ向けOSでは、AR Kit(iOS)、AR Core(Android)というソフトウェア開発キット(SDK)が導入されており、対応機種も増えつつある状況だ。加えて、ウェブサイト上でAR表示をサポートする仕組みも整いつつある。ソフトバンクでは8i社の技術を応用し、ARでリアルタイムの動画中継をする技術の開発を進めている。
ただし、現状のARコンテンツでは利便性の面での課題もある。まず、スマートフォンなどの再生デバイス上の処理能力が追いついていないことが挙げられる。それ以上に課題となるのは、ユーザーにとっての再生までの心理的・物理的ハードルの高さだ。
ソフトバンクが配信する5G LABアプリでは、AR SQUAREのすべてのコンテンツを無料で利用できる。他キャリアのユーザーでも利用可能だ。そういう意味での利用のハードルは高くはないものの、スマホで見るようなARコンテンツでは、長時間の配信は難しいという。
公文氏は「AR SQUAREのコンテンツはすべて1分以内の短尺の動画になっている。現代のスマホの平均的な処理能力に合わせているためだが、長時間のARコンテンツを視聴するためにスマホを構え続けるのは現実的ではないという事情もある」と話す。ARコンテンツで映画のような長尺な動画を楽しむには、グラス型のARデバイスの普及を待つ必要があるだろう。