同サービスの特徴はサプライチェーン全体を一元管理した上で、災害が起こった際には影響のあるサプライヤーが自動でリストアップされること。「膨大な数のサプライヤーごとに被災状況を把握するのが難しい」という悩みを解消し、災害時に迅速な対応ができるようにサポートする。

現在は小林製薬など複数社に有料で提供している状況で、Resilireではこれから顧客拡大とともに機能拡張を進めていく計画。その資金としてArchetype Ventures、DNX Ventures、DEEPCORE、STRIVE、みずほキャピタル、グロービスファンドを引受先とした第三者割当増資により1.5億円の資金調達を実施した。

手が回らないサプライヤー管理、クラウド上で効果的に

Resilireの画面イメージ
 

Resilireでできることは大きく2つある。1つはそもそもこれまで十分に管理できていなかったサプライヤーをクラウド上で可視化できること。もう1つが災害時に各サプライヤーの状況を把握し、素早い対応につなげられることだ。

同サービスでは直接接点のある委託先だけでなく、その先にいる原料調達先も含めて取引に関わるサプライヤーを“ツリー形式”で管理していく。災害時には異常が起きているサプライヤーの色が変わるため、ツリーを見ればすぐに状況がわかる。

Resilireではツリー形式で取引先が一覧できる。災害が発生した際には被害状況に応じて色が変わるので、現地で何が起こっているかも把握しやすい
Resilireではツリー形式で取引先が一覧できる。災害が発生した際には被害状況に応じて色が変わるので、現地で何が起こっているかも把握しやすい

ポイントは、導入企業だけでなく“取引先企業も巻き込んで使う”ように設計されていること。サプライヤーに対してもあらかじめアカウントを発行しておけば、被災した可能性のある拠点やサプライヤーに一斉にメールを送れる。

サプライヤーから簡易的な回答を受け取ることで「実際に被災した拠点はどこか、それによって影響を受ける製品や関係企業はどこになるか」を自動的に可視化できるのが大きな特徴だ。

また気象庁などから災害情報を取得し、自動でマップ上に可視化する機能も搭載。何らかの影響を受ける可能性のある拠点やサプライヤーについてはそのままリスト化することも可能だ。現時点では国内の地震および水災害に対応しており、来月中を目処に停電や土砂情報も取得できるようになる見込みだという。

Resilireのマップ機能
Resilireのマップ機能

Resilire代表取締役社長の津田裕大氏によると、大手製造企業は数百〜数千のサプライヤーや社内拠点の情報をExcelなどで管理することが多い。ただ数が増えるに伴って管理が行き届かなくなり、災害時に後手に回ることにもつながってしまっていた。

Resilireの利用料金は月額で30万円から。ものすごく安価なSaaSというわけではないものの、企業規模が大きくなればサプライチェーンが途絶えてしまった時の損害も大きいため、現在はエンタープライズ企業を中心に導入が進んでいる。