すでに小林製薬や大手自動車メーカーなど十数社がトライアル導入を実施しており、有料で正式導入に至っている顧客も数社存在しているという。

被災を機に防災テックで起業、1件の問い合わせで事業が急転

Resilireは2018年9月の創業。津田氏は学生時代から自分で会社を立ち上げ、受託開発事業などを手がけていたが、2018年に防災に軸を絞る形でResilireとして再スタートを切った。

大きなきっかけとなったのが同年に発生した大阪府北部地震と西日本豪雨だ。津田氏自身も大阪にいたため、深刻な被害ではないものの実際に災害を経験した。

これを機に、今後さらに災害が増える可能性もある中で「災害を予防するようなイノベーションが必要になるのではないか」と考えるようになったという。

「もともと(Resilireを)起業する1年ほど前、ある災害系のNPO法人の会長とお会いした際に『津田くんのようなIT技術を持っている人が社会課題の解決に挑戦してほしい』という言葉をかけられたんです。それ以来、何に自分のスキルを使うかを考えていた中で災害を経験したことで、自分が人生をかけて解決したいと思える課題に出会えたと感じました」(津田氏)

最初は防災をテーマにしたウェブメディアやボランティアを受け入れるための管理システムを運営していたが、ある程度使われたもののビジネスとして成り立たせるのは難しかった。

そこで方向性を変え、企業が書面ではなくクラウド上でBCMを行えるようなソフトウェアを開発したものの、ヒアリングに行った企業からは「お金を払って使いたいとは思わない」とフィードバックを受けたという。

方向性を模索していた時、たまたま当時のサービスのプレスリリースを見た小林製薬の担当者から「サプライチェーンのリスク管理に困っているので、リスク管理の用途で使えないか」と問い合わせを受けたことが転機となった。

その担当者から具体的な課題や既存の業務フローなどを聞きながらプロダクトを磨き、作り込んでいったものが現在のResilireだ。

現在はサプライチェーンのリスク管理に軸をおいたプロダクトへと転換している
現在はサプライチェーンのリスク管理に軸をおいたプロダクトへと転換している

グローバルで見ると7月に1億ドルを調達してユニコーン企業となった米・Interosを筆頭に、SCRM領域で事業を拡大するプレイヤーがいくつも台頭し始めている。

Resilireとしても今回調達した資金を用いて組織体制を強化し、さらなる機能拡充や事業拡大に向けた取り組みを進めていく計画だという。