運営元のコミューンではこの勢いをさらに加速するべく、組織体制の強化やマーケティング活動への投資を進めていく計画。そのための資金としてDNX Ventures、UB Ventures、Z Venture Capital、ジャフコグループから総額で19.3億円の資金を調達した。

ベースフードのコミュニティには1万人以上の会員が参加

完全栄養食ブランド「BASE FOOD」を展開するベースフードでは、2018年9月より既存ユーザーを中心としたオンラインコミュニティ「BASE FOOD Labo」を運営している。

ベースフードが展開するBASE FOOD Labo。7月には会員数が1万人を超えた
ベースフードが展開するBASE FOOD Labo。7月には会員数が1万人を超えた

Laboに投稿されるのはスタッフによるオススメのレシピのほか、ユーザー達が自ら実践しているBASE FOODの食べ方など。要は“ユーザー同士で”BASE FOODの楽しみ方を発掘し、その知見を共有し合っているわけだ。

このコミュニティの存在が、LTV(顧客生涯価値)の向上を始め、さまざまな効果を生み出しているという。

コミュニティ内での情報交換が活発になることでBASE FOODを日々の食事で取り入れる機会も増え、それが追加購入や単価の高いプランへのアップグレードなどを後押しする。レシピを通じて食べ方のバリエーションが広がることで“飽き”を防止し、解約率の減少にも貢献。コミュニティメンバーを起点とした新規ユーザーの獲得にもつながった。

またLaboは商品開発においても重要な役割を果たしており、ユーザーからの生のフィードバックから新商品や新フレーバーが生まれることもある。

登録前や登録間もないユーザーに「はじめての方へ」というコンテンツを出したり、イベント参加者に詳細な新製品ヒアリングをしたりといったように、ユーザーの属性に応じてコミュニケーションの内容を調整しているのもポイント。Laboの会員数は2021年7月時点で1万人を超え、強固なコミュニティが形成されつつある。

情報を集約した双方向型の“顧客コミュニティ”がCSを後押し

BASE FOOD Laboなどさまざまなコミュニティを支える「commune」
BASE FOOD Laboなどさまざまなコミュニティを支える「commmune」

冒頭でも触れた通り、BASE FOOD Laboはcommmuneを用いて開発されたものだ。キーワードになるのが「顧客コミュニケーションの集約統合」と「双方向コミュニケーション」。従来は分散していた顧客接点をコミュニティに集約し、画一的かつ一方通行になりがちだった情報発信を双方向型に変える。

それによってスケーラブルなかたちで個別最適なコミュニケーションを進めることができ、工数を抑えながらもLTVの向上を目指せるという。

「1社ごとに最適なサポートをするハイタッチなアプローチは価値が高い反面、どうしても工数の負担が大きくなる。一方でテックタッチやロータッチではスケールが見込めるものの、提供価値は限定的です。これまで企業の担当者は顧客への提供価値の大きさとスケーラビリティのどちらか一方を選ばなければならない状態に陥っていました」(コミューン代表取締役CEOの高田優哉氏)