「結局『ノーコードでいい感じのコミュニティが作れますよ』とツールを提供するだけではうまくいかないんです。多くの企業はコミュニティをいかに運営していくかで悩んでいるからこそ、コミューンに聞きたいことがある。その支援ができなければ、本当の意味で顧客に価値提供ができないことに気付きました」(高田氏)

現在はコミュニティ運営に関する教科書やフレームワークを自作し、導入直後からコミューンのCSメンバーが顧客に伴走するスタイルが定着している。その分だけ単価は上がったものの、提供できる価値が増えたことで顧客数も拡大。commmuneをフル活用するために高単価のプランへと移行する企業も増加した結果、MRRは1年前に比べて約5倍に成長した。

ここ1年ほどでは顧客の層も広がり、「CS部門が新設されたけど何から手をつけるべきか悩んでいる」「今期からコミュニティに力を入れたいが知見がなくて困っている」といった企業から相談を受ける機会も増えているという。

コミュニティはCRMにおける次のビッグトレンド

「コミュニティはCRMのネクストビッグシングだと考えています」──。高田氏はコミュニティの可能性についてそのように話す。

実際に海外でも関連のスタートアップが複数生まれている。2020年12月にVista Equity Partnersに約11億ドルで買収されたと言われているGainsightを始め、7月に著名VCのAndreessen Horowitzなどから約900万ドルを調達したVitallyや2月に1600万ドルを集めたCommsorなどが勢いを加速中だ。 

ただ他のBtoBのSaaS領域に比べると「大きなプレーヤーが少なく、未だにアメリカでも自分たちと同じようなフェーズの会社が多い」(高田氏)状況で、チャンスも大きいという。

「実は日本の方がアメリカ以上にニーズが大きくなると考えているんです。BtoCのビジネスにおいては人口が減少し国内の市場が縮小し始めているため、顧客1人あたりのLTVを最大化させなければ必然的に売上も減ってしまう。また生産年齢人口も減少傾向にあるので『人力で何とか対応する』ということがより難しくなっていきます」(高田氏)

CRM領域に目を向けると、さまざまな分野において外資系のグローバル企業が覇権を握り、日本においてもシェアを取っているケースがほとんどだ。コミューンが取り組むカスタマーサクセスやコミュニティの分野においても同じような構図になる可能性は十分にある。