コミュニティタッチが注目を集めるのはこの“両取り”が狙えること。しかもcommmuneでは顧客コミュニケーションの集約統合と双方向コミュニケーションというコミュニティの特性に、「統合データを基にしたアクションの最適化」という特徴が加わる。

communeのダッシュボードのイメージ
commmuneのダッシュボードのイメージ

BASE FOOD Laboの事例にもあるようにユーザーの属性ごとにコンテンツを出し分けたり、特定のユーザーだけを対象にしたアクションを実行したりすることが可能。CRMやMAツールとも連携した上で、データを用いて顧客体験を設計できる。

commmuneはいわゆる“ノーコード”型のツールであるため、コミュニティの開設や細かい機能設定のためにその都度開発コストが発生することもない。直近では企業が自社コミュニティのモバイルアプリを自社での開発負担なしで作成できる仕組みの提供も始めた。

1年でMRRは5倍に、独自の教科書やフレームワークで徹底伴走

BASE FOODに限らず、commmuneを用いてコミュニティの運用を始めることでカスタマーサクセスを実現し、結果としてLTVの向上や業務効率化につなげた事例は少なくない。

シャープの場合は「ヘルシオ ホットクック」の公式コミュニティ「ホットクック部」を運用。このコミュニティでもユーザーが投稿したレシピや製品の活用術が軸となっており、コアユーザーの知見がライトユーザーや未購入者の意思決定をサポートするかたちで機能している。

BtoBビジネスでもコミュニティは効果的で、ヘイ(STORES)やインフォマートなどがcommmuneを導入済み。顧客の数が増えるほど人力で満遍なくサポートするのも難しくなるが、その際にノウハウや先輩顧客の声を集約したコミュニティが“企業ポータル”として大きな効果を発揮するわけだ。

実際にある大手メーカーではコミュニティ開設後に問い合わせ件数が2割減少したという。

「ヘルシオ ホットクック」の公式コミュニティ「ホットクック部」
「ヘルシオ ホットクック」の公式コミュニティ「ホットクック部」
量販店の店頭に設置されたポップアップなどでもコミュニティの訴求がされている
量販店の店頭に設置されたポップアップなどでもコミュニティの訴求がされている

もともと高田氏たちはサプリメントのD2Cブランドから事業をスタートさせている。その際に「企業と顧客との距離や顧客接点に関する悩み」を当事者として経験したことが、commmuneを開発するきっかけになった。

当初は過去の自分たちとも共通点の多いD2Cブランドやスタートアップを中心に月額数万円のサービスとして提供していたものの、その価格帯では顧客に対して十分なサポートをすることはできず、結果的に解約に繋がるケースも少なくなかったという。

コミューンにとって転機となったのが、サービス開始から1年強が経過したタイミングで主要なターゲットとプライシングを変えたこと。commmuneの役割を既存顧客のLTVを向上させるためのサービスであると定め、ミニマムの月額利用料を25万円まで引き上げた(現在は30万円から)ことで流れが変わった。