スタンドアロンで遊ぶ1人用のRPGと違い、オンラインRPGの方がエンディングまでのプレイ時間は長くなりがち。それに加えて、ゲームメーカーとしては継続プレイを促すために、定期的に新シナリオを追加しているため、そのゲーム自体が好みであれば、果てしなく「やることがある」状態になっている。2002年に発売した『ファイナルファンタジーXI』ですら、発売後19年が経過した2021年11月10日に新シナリオ「蝕世のエンブリオ」を追加するなど、継続ユーザー向けのケアが続いている。

ユーザーが少なくなればメーカーの収入は減るが、それでも一定数のユーザーが月額料金を支払い続けている限りはサーバを管理し、データ消失がないように定期的なバックアップやメンテナンスを実施する。利益率が高いビジネスとは言えないが、安定した収入になるため、ゲームメーカーもサービスを継続しているという図式だ。

そして決算説明資料を見る限り、ユーザーからの支持が得られたMMOは、メーカーにとって大きな収益の柱になっているということが数字として明らかになった。

しかし『ファイナルファンタジーXIV』はバージョン1.0の完成度が低く、ユーザーから大批判を受けてサービスを一時中断したことがあった。MMOだから売れるというわけではなく、1.0での失敗を教訓に送り出したバージョン2.0『新生エオルゼア』以降も引き続き高いクオリティをキープし続けているからこそ、『ファイナルファンタジーXIV』は現在もなお人気を保っている。

家庭用ゲーム機向けソフトにサブスクの可能性はあるのか?最後に、「HDゲーム」と呼ばれる家庭用ゲーム機向けソフトについても触れておこう。

4~9月では過去の名作を現行機種向けへHD移植するタイトルが目立ち、新規タイトルとしては4月の『OUTRIDERS』と、7月の『新すばらしきこのせかい』のみ(6月に発売した『ファイナルファンタジーVIIリメイク』は、昨年発売したPS4版をPS5版にアップグレードしたもの)。

この『新すばらしきこのせかい』のみ(おそらく客層を意識して)、PS4とニンテンドースイッチという2機種での発売だが、残りはほぼすべて、PS4とXbox One、Steamというマルチプラットフォームで販売しているのは、本サイトに掲載した記事「世界的ヒット『モンハン』のカプコンも急ぎかじを切る、PCゲームビジネスの破壊力」で説明した通り。