この結果をざっくり分析すれば、約半分がスマートフォンアプリの課金収入。残りの3割超がゲーム機用ゲームソフトで、2割超がMMORPGからの収入ということになる。

スマートフォン用アプリは運営中のものだけでも、相当なタイトル数になる。以下に挙げたものは、スクエニの代表的なIPである『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』関連のものだけをピックアップしたものだ。これらアプリの課金収入が、同社の利益の48.1%を支えている。

『ドラクエ』IPアプリ

  • 『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』
  • 『星のドラゴンクエスト』
  • 『ドラゴンクエストウォーク』
  • 『ドラゴンクエストタクト』
  • 『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 -魂の絆-』

『FF』IPアプリ

  • 『ファイナルファンタジーレコードキーパー』
  • 『ファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス』
  • 『ディシディア ファイナルファンタジー オペラオムニア』
  • 『WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争』

「2(+1)タイトル」で売上の21.4%を稼ぐMMO収益

筆者が驚いたのは、売上比率の21.4%をMMOが稼いでいるという結果だった。MMO(Massively Multiplayer Online)とは、簡単に言えば大人数が同時にプレイできるオンラインゲームのことだ。同社が運営中のMMOと言えば、『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX』そして『ファイナルファンタジーXI』という3タイトルのRPG(ロールプレイングゲーム)だ。

MMO月額料金(税込金額)

  • ファイナルファンタジーXIV 1408円~
  • ファイナルファンタジーXI 1298円~
  • ドラゴンクエストX 1000円~

このうち、『ファイナルファンタジーXI』は2002年からサービスを開始している上、新タイトルの『ファイナルファンタジーXIV』へ移行した人も多いため、事実上アクティブなサービスとしては『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX』の2タイトルと考えても問題はない。

MMOの利用料金は、月額利用料というかたちで支払うことになる。これも一種のサブスクと考えてもいいだろう。運営側から見たサブスクの利点は多い。例えば買い切りのゲームソフトを販売した場合には、ソフトごとに開発・宣伝・販売を行うことになるため、タイトルごとに当たり外れが出てくる。

過去の記事「任天堂がスイッチでこれまでの「倍額」のサブスクを開始した意図」でも説明したが、ゲームメーカーの多くはサブスクによる安定収入を得るための手法を模索するようになっている。当然、サブスクの自動更新による「更新の切り忘れ」という特性も含めての戦略だ。

MMOの月額料金システムは、こうしたサブスクの仕組みよりもさらに、強い「継続したくなる心理」が働く。

ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのRPGファンであれば、「一度クリアしたあと触っていなかったけど、久々にエンディングを見ようかな」と、再びソフトを起動したくなる気持ちは理解できるのではないか。

MMOはこのセーブデータが(不正を防ぐという目的もあり)クラウドのサーバ上に保存されている。このため、自分のセーブデータは月額料金を支払い続けている間のみ、ゲームメーカーがサーバの多重バックアップなどを駆使してセーブデータを「保証」してくれている。逆に言えば、月額料金の解約はつまり、自分のセーブデータとの別れということも意味している。