たとえばミラティブがあるタイトルと実施したコミュニティ施策キャンペーンには、そのゲーム全体のユーザーの約2%が参加した。このキャンペーンが特にヘビーユーザー間の交流を加速させた結果、最終的にキャンペーンの参加者によって生み出された売上は、ゲーム全体の売上の4割にまで及んだという。

「ヘビーユーザーほどコミュニティを求めており、Mirrativを通じて友達ができることで、もっとそのゲームを好きになってくれるんです。Mirrativを活用したユーザーの方がゲームのLTVが上がるのであれば、ゲーム会社にとっても『Mirrativに送客した方が得をする』という構造になる。結果としてゲーム会社と唯一無二の座組みができてきています」(ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏)

実際にMirrativではこの1年間で似たような事例がいくつも生まれている。

あるタイトルでは、キャンペーンへの参加の有無によってゲーム内課金額に大きな違いが生まれた
あるタイトルでは、キャンペーンへの参加の有無によってゲーム内課金額に大きな違いが生まれた

別のタイトルではキャンペーンに参加したユーザーの「1日の1人あたりのゲーム課金金額」が、非参加ユーザーに比べて2.6倍高くなった。ユーザー同士の交流がゲームの楽しさを広げ、無課金ユーザーが課金をする効果に加え、課金経験のあるユーザーの課金金額が増加する効果も生んでいる。

継続率に関しても同様だ。ユーザー同士のコミュニティの存在がゲームを長く楽しむ1つのきっかけとなり、キャンペーン参加者の「90日後の継続率」が非参加者の7.7倍になった例もある。

ゲームの継続率においても違いが生まれているという
 

ゲーム会社の意識が「新規の獲得」よりも「既存ユーザーの維持」へ

ミラティブでセールス部部長を務める井上数馬氏

もともとミラティブでは、数年間にわたって国内外のゲーム会社と地道にコミュニケーションを続けてきた。その一環として進めてきた“ディープリンク(ゲーム内にMirrativアプリの配信リンクを設置することで、すぐに配信ができる仕組み)”は、現在150本近くのタイトルに設置されるまでになっている。

ミラティブでセールス部部長を務める井上数馬氏によると、当初はゲーム会社と話をしていても、Mirrativの存在自体は知られているものの「担当者はインストールしていないことも少なくなかった」という。

ディープリンクの一例。画像はPUBG MOBILEのもの。アプリ内からすぐにゲーム配信ができる
ディープリンクの一例。画像はPUBG MOBILEのもの。アプリ内からすぐにゲーム配信ができる
ディープリンクの一例。
 

 

地道な啓蒙活動を続けている中で、次第にサービスの成長とも合わさり少しずつ反応が変わっていった。「ユーザーから『Mirrativとタイアップしないんですか?』とゲーム会社にリクエストが届き、そこから問い合わせにつながった」ような例も生まれ始めた。

こうした積み重ねによって、独自のコミュニティ施策という切り口でゲーム会社と連携できる土台が整ってきたのだという。