「自分が経営しているネイルサロンは多店舗展開するなど上手くいっており、その収益を大手クーポンサイトの広告に充てることができています。しかし、ネイルサロンをやっている人の9割以上が個人です。自分たちは広告費を年間約1億円ほど投下していますが、個人にそれだけの費用を支払える人はいません。仮に広告掲載したとしても、金額が少ないため掲載枠が下の方になり、予約につながりにくいのが現状です」(浅倉氏)

ネイルサロン業界を俯瞰(ふかん)して見たときに、母数として多いのは個人。であれば、個人のネイリストが掲載費を気にすることなく集客できるプラットフォームがあれば、ネイルサロン業界全体が変わるのではないか。そう考え、ネイリーを立ち上げることにした。

「ネイルサロンをやっている身からすると、個人とネイリストが直接つながり予約できるようなシステムは脅威です。ただ、他の人に開発されるくらいなら、自分たちでやった方がいいと思い、着手することにしました」(浅倉氏)

月100万円を稼ぐネイリストも誕生

ファイブスターとは別会社として、ネイリーを設立。とはいえ、当初は浅倉氏自身にサービス・アプリ開発の経験がなかったため、開発は想像した以上に難航し、半年の予定が1年半ほどかかることになった。

2018年4月に東京エリア限定でスタートした後、8月に正式リリース。約2年弱でアプリのダウンロード数は80万を記録しているほか、15000人以上のネイリストが登録している。

ネイリーはネイリストが投稿したネイル画像からデザインを探し、気に入ったネイリストに直接予約できるネイル予約アプリ。事前にクレジットカードを登録しておくことでアプリ内で予約から決済までを完結することができる。また掲載費は無料とし、予約が入った場合のみ手数料が発生する仕組みとなっているため、ネイリスト側は従来の検索・予約サイトよりも安い価格でサービスを利用することができる。

ネイリーの仕組み 画像提供:ネイリー
ネイリーの仕組み 画像提供:ネイリー

「ネイルサロンは当日キャンセル、いわゆるドタキャンが多いのですが、事前にクレジットカードで決済を済ませておくことでドタキャンを防げるほか、面倒な会計業務も短縮することもできます。そうした点がネイリーの特徴となっています」(浅倉氏)

リリース初期に関西、東海、九州、東北など各地の人気ネイリストが“ネイリーオフィシャルネイリスト”として参加したことで、早い段階で一定数のネイリストを確保できたという。今ではネイリー内で月100万円を稼ぐネイリストも生まれてきている。