2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

コップに水がほとんど入っていないときに、「少しだけ残してくださっていて、ありがたい」と思えるか

 もののとらえ方が変わってくると、私たちが住んでいる国は、「3つ」に分かれていることに気づきます。

 ひとつ目の国には、何事も否定的にとらえる人が住んでいます。私は、この国のことを「悲帝国」と名付けました。

「悲」という文字を分解すると、「非ずの心」となります。「そうではない、そうではない」と思う心のことです。

「非ずの心」を持っていると、「コップの水が半分しかない」「コップの水が7分目しかない」「コップの水が8分目しかない」と「足りない」ことに気を取られ、そしてついには、コップに水が100%満たされていたとしても「100%しかない」と不満を感じるようになります。

「100%」も存在していて、もうそれ以上望むものはないのに、「100%しかない」と嘆いている人が、世の中には多い気がします。

 たとえば、目が見えていることだけでも十分に幸せなのに、「もっとどこかに幸せがあるはずだ」「もっと自分の思い通りになるべきだ」と思い込んでいる人は少なくありません。

「悲帝国」の住人は、いつでも、何にでも否定的な見方をしていることに早く気がついたほうがいいと思います。

 2つ目の国は、「好帝国」です。

 この帝国には、どんなことにも、「好ましい、嬉しい、幸せ、楽しい」と言っている人が住んでいます。

「コップに水が半分入っている」ときに、「半分もあって嬉しい。楽しい、幸せ」と考えます。

 この帝国の住人は、目の前に起きている現象を常に肯定的にとらえていますから、まわりにいる人たちも笑顔になり、よい仲間ができていきます。とても明るい集団と言えるでしょう。

 3つ目の国は、これは少し江戸弁になるのですが(私は東京・深川の生まれ育ちです)、「ありが帝国」です。

 この帝国の住人は、すべてのことに対して「ありがたい」と感謝する人たちが住んでいます。

「コップに水がほとんど入っていないとき」に「誰かが、少しだけ残してくださっていて、ありがたい」と考える集団です。

「ありとあらゆることが満たされていて、非常に幸せだった」とすべてのものに手を合わせ、笑顔を向け、「ありがとう」を言い続けている人たちですから、この国の住人はとても謙虚であり、穏やかで、和やかな空気をつくり出しています。

 もし、この3次元の経済社会が「ありが帝国」一色になったら、どれほど生きていくのが楽しいものになるでしょうか。