「人それぞれの幸せの形を見つめます」――。そんな言葉から始まるのは、人気コーナーのひとつである「大山ワンダーライフ」。このコーナーで入澤さんはメインナレーションを務めており、あえてプレハブ小屋に住むなど、“ユニークな暮らし”をする人を紹介している。

 このほかのコーナーも地域の興味関心に応えるものが多く、地元のヤンキーのその後を追った特集や、ご近所同士のトークバラエティーなどもある。なかには住民に飼っているウーパールーパーへの愛情をひたすら語ってもらったり、カラオケ好きなシニア男性に歌う機会を提供したりすることも。

「視聴率」70%超え!?中国地方のローカルチャンネルはなぜ人気リポーターとして参加する住民 =大山チャンネル提供
「視聴率」70%超え!?中国地方のローカルチャンネルはなぜ人気撮影を手伝う中学生 =大山チャンネル提供

 地域の課題に取り組むコーナーもある。異物によるトイレ詰まりが多発したため町の下水担当職員に密着する内容を放送した後は、実際にトイレ詰まりの件数が少なくなったという。多くの地域住民が大山チャンネルを見ていることがうかがえる。

事故の真相に迫る

 さらにはスクープも。ある日、地域住民らが同県米子市との境界にある孝霊山(標高751メートル)で70年前に墜落した米軍機のエンジンの一部とみられるものを見つけた。事故に関する資料はまったく残っていなかったが、町民の証言を頼りに現場を捜索するなどし、事故の真相に迫った。

 大山町役場の総合戦略課によれば、2021年度に実施した「地域情報に関するアンケート」では、7割の住民が大山チャンネルに満足していると回答した。またこの調べでは、町民のテレビ週間接触率は74%を記録した。