美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。
ハリー・ポッターの世界に旅立てる「聖地」
ロンドンで旅行の添乗をしていると「キングス・クロス駅に行きたいんです!」とご希望される方が多くいらっしゃいます。
実はこの駅は、あの世界的な大ヒットを記録した小説『ハリー・ポッター』シリーズにて、ホグワーツ特急の始発駅として登場するんです!
ホグワーツ特急は秘密の9¾番線に発着となっており、9番線と10番線の間の壁を通り抜けたところにあるとされています。
実際のキングス・クロス駅はどちらの番線も主駅舎にはないんですが、映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では4番線と5番線が9と10に置き換えられ、その間にあるレンガの壁から無事、ハリーはホグワーツに旅立った…と描かれています。
そういった理由で、この駅はハリー・ポッターファンから聖地のようにあがめられ、たくさんの方が訪れるのです。
「え~。そんな普通の駅にたくさんの観光客が押し寄せたら迷惑やないの?」って思われるかもしれませんが、そこはイギリス。
この駅舎内には現在「PLATFORM 9¾」を示す鋳鉄製の標識が取り付けられ、その下にはなんと半分壁に埋まった荷物カートのモニュメントも取り付けられるほどのサービスぶり!
しかも、その横には駅の係員さんがいてホグワーツのマフラーを貸してくれ、写真を撮るときにマフラーをゆらゆら揺らして、シャッターを押す瞬間に離してくれるという神サービスまでしてくれる心意気も!
こうして撮ると本当に壁をすり抜けているように見えるんですよね!
魔法学校への入学まで決断してしまいそうな体験ができるこの駅舎。
まぁ問題があるとするならば、運が悪いと写真を撮るだけで2時間近く並ぶこと。
マフラーゆらゆらショットを撮るために2時間…。それでもハリー・ポッターファンは今日もカートを押しに並ぶのです(ここまでくると意地)。
(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)