日本製品が好まれる半面、政治的リスクは消えていない

 韓国における日本製品、特にユニクロやダイソーの人気が根強いのは、その品質とコストパフォーマンスの良さに起因している。日本企業が韓国市場に進出することは、日本ブランドを好む消費者も多いので有望ではあるが、一方で常に政治的なリスクを背負っていることも否めない。

 2019年には、文在寅(ムン・ジェイン)前政権下での「日本製品不買運動」が展開され、「NO JAPAN」というスローガンの下、ユニクロやアサヒビールがターゲットにされた。この運動は「史上最悪の日韓関係」と言われ、企業の韓国撤退の危機にまで発展した。また、日本関連のイベントが次々と中止に追い込まれるなど、大きな影響があった。

 不買運動は、政権やメディアによって国民が扇動されていた面も大きく、その熱はやがて冷め、今では逆に日本ブームが巻き起こっている。尹錫悦政権の下で日韓関係が改善されたように見えるものの、油断は禁物である。

 韓国では政権交代ごとに外交政策が大きく変わり、特に対日政策は左派政党や市民団体によって政治的な道具として利用されやすい。最近も、11月23日に韓国ソウル高等裁判所(日本の最高裁に相当)が日本政府に慰安婦被害者への賠償を命じる判決を下し、波紋が広がっている(参照 https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page1_001923.html)。このような動きが現在の日韓関係に影響を与え、尹政権に対する左派勢力の批判が強まる可能性もあるため、今後の動向を注視する必要がある。

 しかし、「NO JAPAN」運動が最終的に失敗に終わったことを考えれば、日本ブランドの強さと魅力は韓国国民にも認知されている。ニトリの韓国進出と今後の展開は、日韓関係の行方とともに大きな関心事である。