台湾の民主化以降、外交部長(外相)として在任期間が最長の呉釗燮氏が退任の意向を表明した。中国に対して強気の姿勢を見せ、台湾が米国寄りにシフトするのに尽力した波乱万丈の在職期間を終える。呉氏は来年1月の台湾総統選挙の後、与党・民進党の勝敗にかかわらず外相を辞任すると述べた。米中関係を巡る不透明感が広がる中、台湾外交部は経験豊富な人材を失うこととなる。同氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで「6年近く外相を務めた。非常に長い時間だ」と語り、自身のポストを「恐らく世界で最も困難な外相職だろう」と表現した。台湾にとって激動の時期に呉氏は世界に向けた報道官としての役割を果たした。中国の圧力が増大する中、蔡英文総統が主導する米国との関係強化に貢献したほか、ロシアのウクライナ侵攻による衝撃を利用し、アジアにおける民主主義の防波堤としての台湾の世界的存在感を高めた。
台湾外相が退任表明 総統選挙1カ月後に控え
呉釗燮氏、約6年務めた「世界で最も困難な外相職」を退く意向
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