忙しかったときは疲れも忘れられて良かったかもしれないのですが、燃え尽き症候群になるとトータルで見たときのパフォーマンスは結局低下しているでしょう。

 だからこそ普段から1日、1週間、1カ月などの期間ごとに、意識的に休息の時間を確保することが重要です。

 100%の力で駆け抜けて息切れした挙句に0%になってしまうよりも、80%のパフォーマンスを続けるほうが心にも体にも負荷が少ないのです。充実感を得るために休息を取らずにあえて忙しくしている、という人はちゃんと自分の心と体を労る時間を確保するようにしましょう。

 そもそも仕事ややるべきことが多すぎて休む時間が取れないという人は、その生活自体に問題があるともいえます。少しでも休みの時間を確保できないか、自分ではなくほかの人に任せられる部分はないか、などと考えておかないと、気づかないうちに心身が蝕まれてしまいます。一度、ちゃんと休息の時間がとれているかどうか、自分の生活を見直してみましょう。

人生で楽しかった瞬間を思い出すのが
「ストレス解消」にはならない?

よくあるストレス解消法
「楽しい記憶を思い出す」
  ↓
より良いストレス解消法
「今この瞬間に集中する」

部屋の掃除をしているときにたまたま昔のアルバムを見つけて感傷に浸ったり、ふとスマホの写真フォルダを見返して「あのときは楽しかったな〜」と当時を思い返して懐かしんだり……。

 誰でも人生で楽しかった瞬間を思い出すことがあるでしょう。

 その行為自体は何も問題はないですし、制限するつもりもまったくありません。ただ「ストレス解消」という文脈で考えると積極的には推奨できません。

 冒頭の二つのシチュエーションは偶発的、もしくは自分が意図せずに行ったことですが、ストレス解消のために“意図的に”楽しい記憶を思い出すことは、状況によっては若干リスクを伴います。それこそ心身が疲労していて、心や体を回復したいタイミングで楽しい記憶を思い出す場合は要注意です。

 というのも、楽しい記憶を思い返すことで「あのときは楽しかったのに、それに比べて今は……」とマイナスな感情を増幅させてしまう可能性があるためです。

 基本的に楽しい記憶は心身ともに健康的なときにしかつくられません。みなさんも自分が楽しかったときの記憶を思い出してみるとわかると思いますが、体が弱っている、またメンタルが不調な状況はほとんどないと思います。