ストレス過多の時代に生きる人々にとって、ストレスとの付き合い方は、人生の必修過程だ。どういったときにストレスが溜まり、それはどういった形で可視化されるのかを知っておこう。本稿は、メンタルドクターSidow『ケーキ食べてジム行って映画観れば元気になれるって思ってた』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。
ストレスを溜める
三つの要素
ストレスは溜めないほうが良いといっても、いつの間にか溜まっていることが多いですよね。
私たちは日々の生活でさまざまなストレスを受けていますが、大抵はすぐに忘れ去られるか、体が順応できる程度の小さなものです。
例えば、乗りたかった電車にぎりぎりで乗れなかったとき、その瞬間は「なんだよもう!」とストレスを感じますが、すぐに次の電車に乗れたらそのストレスはいつの間にか忘れてしまうでしょう。また、うるさい音や眩しすぎる光なども体へのストレスになりますが、しばらくして体が順応すると、同じ刺激でもそこまでストレスに感じなくなります。この程度のストレスであれば生活に支障は出ませんし、特別な対処も必要ないでしょう。
でも実際には、日々強いストレスを感じている人が多いのも事実です。
では、ストレスはどんなときに溜まるのでしょう?
それを決める要素は三つあります。「ストレスの程度」「ストレスの回数」「ストレスの持続時間」です。
「ストレスの程度」というのは、ストレスの重さのことです。当然ながら軽いストレスよりも重いストレスのほうが蓄積しやすく、その後の心身への影響も大きくなります。 日常生活でちょっと嫌なことがあった、というよりも大きな失恋をした、大切な人が亡くなった、仕事で取り返しのつかないミスをした、というほうが精神的なダメージは大きく、そのことを思い出して後からまた落ち込むことは想像しやすいでしょう。
「ストレスの回数」は、ストレスを受ける回数や連続性のことです。仮に軽いストレスであっても、それが何回も繰り返される場合はストレスが溜まる要因になります。 電車に乗り遅れるのも、それが1回だけではなく1日の中で2回3回と続いたらどうでしょう?
上司に嫌味を言われたときも、1回ならばまだしもそれが1日に何回も繰り返される場合は、普段軽く受け流せる人もさすがにストレスを感じるはずです。
心理学でわかっていることですが、人間はいいことも悪いことも回数を重ねることによって印象が強まるため、ストレスの出現回数はそのままストレスが溜まるかどうかに直結するのです。