心か体、どちらかが弱っているときも普段と状況が違うため印象には残りやすいのですが、おそらく「楽しい思い出」というかたちではなく「大変だった」もしくは「つらかった」記憶として残っているはずです。

 ストレス解消を目的とする場合、そもそもストレスが溜まっている状況であることが多いため、楽しい記憶を思い出そうとすると今と過去を比べてしまいネガティブ感情が増幅する可能性が高いのです。

 だからそんな状況のときには過去の楽しかった記憶を思い出すのではなく、今に集中し、どうしたら少しでもストレスが緩和されるかを考えるようにしましょう。もちろんそのときの状況や人によって方法はさまざまです。

 散歩をする、リラックスできる音楽を聴く、誰かに自分のことを話すなど、どんな方法であってもストレス解消のポイントは「今、何ができるか」に着目することです。

 つらいことがあったり、元気が出なかったりするときは、スマホの写真フォルダをスクロールするのではなく、写真に写る友達に連絡してみたり、スマホを置いてストレッチや散歩をしてみたりしましょう。

感情を出すことは
悪いことではない

よくあるストレス解消法
「感情を出さない」
  ↓
より良いストレス解消法
「感情を出してもいい」

 何だか近年の世の中の風潮を見ていると、感情を出すことは悪いことのように捉えられていると感じることがあります。

 メンタルの不安定な人は感情が出やすく、メンタルの安定している人は感情に振り回されずいつでも冷静でいる、というイメージが広がっているようです。

 しかし、感情を出すのはそんなにいけないことなのでしょうか?

 たしかに感情に振り回されて周りが見えなくなったり、対人関係のトラブルに陥ったりするのは避けたいところです。ただ、それは感情を出した結果の行動で起こったこと。つまり、感情が起点となってその後何らかの行動を起こし、その行動がマイナスの状況につながっているので、感情そのものがマイナスだとはいえません。

 例えば「嫌なことがあって怒りの感情が湧き、ものを投げて壊してしまった」という状況を考えてみましょう。

 ものを投げて壊す、というのは望ましくない結果といえますが、その前の怒りの感情が出ること自体は悪いこととはいえません。