感情自体が悪いのではなく、それに振り回されてコントロールできなくなったときに悪いことが起きるのです。

 感情は生物学的にも本能といえるものなので、それを元から抑えるのは困難だといえます。だから「感情を出さない」ではなく、「感情を出してもいいけれどマイナスな行動につながらないようにする」と意識すると良いでしょう。

 精神科でもよく使われる「アンガーマネジメント」という手法がありますが、これは怒らない技術ではなく、怒った後に早めに冷静になるための技術です。

 代表的な対策として「6秒数える」や「深呼吸をする」などがあります。怒ってしまうことは仕方ないとしても、その感情が別の方向に向かってしまわないようにコントロールするのがアンガーマネジメントの本質です。

 だから感情を出さないことが大切なのではなくて、感情によって自分を見失わないことが大切なのです。むしろストレス解消の点から考えたら感情を出したほうが良いともいえます。

 笑いたいときにお笑い番組を見て思いっきり笑う、泣きたいときに泣ける映画を観て思いっきり泣く。これらは立派なストレス解消法です。人やものに当たったりしなければ怒りたいときに怒るのもちゃんとストレス解消になります。

 むしろ感情を発散せずにいることのほうがストレスになる可能性があるため、みなさんは「感情を出してはいけない」という意見は聞き流して、自分の感情と上手に付き合えるようになりましょう。