徳力 映画のテレビCMで使われる「全米No.1」といった常套句がネット上では、よく揶揄されます。こうした映画のプロモーションについては、どう思いますか。

上田 真実を隠せない時代ですよね。テレビCMで「大ヒット上映中」と言っても、本当にヒットしているかは、調べればすぐに分かります。それよりも僕は「ぼちぼちヒット中」と言った方が信じてもらえると思います。

徳力 正直ですね(笑)。でも確かに、映画業界のプロモーションは、従来の常識としてのテンプレートがしっかり決まっている印象がありますよね。

上田 そうですね。宣伝は映画と同じように、もっとクリエイティブであっていいと思っています。作品に負けないくらいの気持ちで一緒に面白い宣伝をしかけたいですよね。

徳力 上田監督自らプロモーションについて関わることはありますか。

そこまでやる?『カメ止め』上田監督のツイートスキル映画『スペシャルアクターズ』
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上田 10月に公開する映画『スペシャルアクターズ』では、僕が監督に加えて宣伝プロデューサーも担当しています。公式Twitterの運用は、松竹の方が担当してくれているのですが、恐縮ながら結構ダメ出しもさせてもらってます。

 先日は、上映開始日、上映館、完成披露試写の3つの情報が解禁されたのですが、これらをすべて個別のツイートで発信していたんです。でも、それでは拡散した時に伝わる情報も分散してしまうので、ひとつのツイートにまとめて、さらに予告編の動画もつけて投稿してほしいと伝えました。

 あとは、コアタイムに自分の投稿をリツイートをして、タイムラインの一番上に表示させるようにしてほしいとも言いました。

徳力 こんな細かくTwitterの仕様に指示を出す映画監督は、普通いないですよね(笑)。

『カメ止め』がTwitterで盛り上がった理由

徳力 『カメラを止めるな!』では、キャストもTwitterで発信をしていましたよね。

上田 そうですね。できればやってくださいと言いましたが、強制はしていません。ただ、例えば「上映館が発表されました」というツイートを何十人のキャストが引用リツイートしたところで、コメントの内容が薄ければ、その人自身の投稿はリツイートされづらいですよね。

 なので、リツイートするときは、プラスアルファで自分ならではの情報やユーモアを入れてほしいと伝えました。

そこまでやる?『カメ止め』上田監督のツイートスキル徳力基彦氏  ピースオブケイクnoteプロデューサー/ブロガー 提供:Agenda note

徳力 『カメ止め』の過去のツイートをさかのぼって見たら、本番上映の半年前に実施された最初のイベント上映のときから、観客も含めてたくさんの記念写真が投稿されているのがとても印象的でした。イベント上映では、よくあることなのでしょうか。