上田 そうですね。結果的に舞台挨拶の写真、パンフレットへのサインの写真、一緒に記念撮影した写真と一人が何回も投稿してくださるようなことが起きました。

徳力 僕も映画のプロモーションのお手伝いをしたことがあるのですが、映画はクチコミしてもらうのが、実はすごく難しいんですよね。映画を観た人がTwitterに何か写真を投稿しようと思っても、映画の素材は権利関係で使えませんし、宣材写真もすべて同じなので独自性が出しづらいし。

 そう言えば、公開前日にはニコ生で全編公開しましたよね。公開前の映画をネットで全編流すなんて、すさまじい話です。

そこまでやる?『カメ止め』上田監督のツイートスキル映画監督・上田慎一郎氏(左)と、ピースオブケイクnoteプロデューサーの徳力基彦氏(右) 提供:Agenda note

上田 メジャー映画では絶対にできないですよね。試写イベントをもっと多く開催したかったので、全国一斉試写のつもりでした(笑)。

『カメ止め』は11月のイベント上映から、6月の本番上映までに試写会をしたり、DVDでサンプルを見せたり、雑誌の取材を受けたりと、映画業界内では話題が沸騰していました。でも上映している場所がなかったので、観たいという思いが溜まっていたんです。その状況で本番上映が行われたことも、ヒットの大事な要素だったと思います。

徳力 お話を伺って『カメラを止めるな!』が実を結んだのは、上田監督が地道に丁寧にコミュニケーションの戦略を立てていたからだと改めて実感しました。今日は、ありがとうございました。