上田 インディーズ映画では、ちょこちょこありますね。ただ、きちんと撮影OKだとアピールするのは、あまりなかったかもしれません。

徳力 私が面白いなと感じたのは、『カメラを止めるな!』スピンオフ作品の上映会で、上田監督自ら「みなさん写真撮っていいですよ」とか「感想をTwitterに投稿してください」と、観客に自ら声をかけていたこと。ファンサービスと言えば、そうなんですけど、空気のつくり方が他の上映会とは全く違うなと思いました。普通は、写真撮影が禁止のケースも多いですし。

上田 純粋にお客さんに楽しんでもらいたいというのもありますし、写真を撮ったら、Twitterに投稿したくなってもらえますよね。『カメ止め』のときは、イベントで撮影した写真を投稿するために、2~3年放置していたTwitterを再開させたという人もいました。

徳力 Twitter社の調査では、『カメ止め』を知ったきっかけがTwitter経由だった割合が非常に高かったですよね。イベント上映のころから手ごたえはあったのでしょうか。

上田 そうですね。やはり熱量の高い投稿は、多かったと思います。

『カメ止め』の熱狂を生んだ、コミュニティづくりの原則

徳力 例えば、舞台挨拶で撮影をOKにしたり、ハッシュタグを「#カメラを止めるな!」ではなく「#カメ止め」にしたり、Twitterに投稿してもらう工夫をされています。上田監督の中で、こうした手法が確立されたのはいつごろですか。

そこまでやる?『カメ止め』上田監督のツイートスキル『カメラを止めるな』を認知した経路を300人に聞いた結果 提供:ツイッタージャパン
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上田 これまでの経験の中で、徐々に確立していきました。実は数ヶ月前、映画の勉強のために、新興宗教のつくり方の本を読んだんです。そこに書いてあったことが『カメ止め』で僕たちがしていたことと似ていたので驚きました。定期的にイベントを行いなさい、同じユニフォームを着なさい、同じポーズをつくりなさい、と。

徳力 すごいですね。以前、インタビューした起業家のけんすうさんも宗教の構造がコミュニティをつくるときに参考になる、とお話しされていました。上田監督は、いつから新興宗教に似たスキームになったと思いますか。

上田 例えば、同じユニフォームを着るというのは、舞台挨拶を2週間毎日行う予定だったため、着る服を毎日考えるのは大変だなと思って、Tシャツで揃えようと決めたんです。同じポーズも、写真を撮るときにはこうしようと、いつの間にか決まっていましたね。パンフレットにサインするというのも自然な流れでした。

徳力 どれも狙って始めたわけではないのですね。