中国の経済指標は今、混沌(こんとん)としている。つまり15日に発表された11月の統計の一部が予想以上に良好だったとしても、懐疑的に見るべきだということだ。住宅価格は一段と下落し、デフレは深刻化し、銀行の融資残高は前年比の伸びが2002年以降で最低だった。これが全体像だ。本当の意味で明るい兆しもあった。製造業、特に携帯電話や自動車などの生産増は、恐らく輸出需要の安定化を一部反映している。全米産業審議会(コンファレンスボード)が発表した11月の米消費者信頼感指数は7月以降で初めて上昇。またキャピタル・エコノミクスによると、中国からの輸出(数量ベース)は先月、過去最高を記録した。一方で、鉱工業生産と小売売上高はそれぞれ6.6%増、10.1%増と大幅に上昇したが、どちらも前年同月との比較によって大きく歪められた数字だ。昨年11月は新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)が一段と厳格化した時期だった。実際、11月の小売売上高は、前月比・季節調整済みベースでは微減となった。減少は7月以来だ。
中国経済の「改善」、額面通りに受け取れず
11月の鉱工業生産・小売売上高の伸びは、前年の「ゼロコロナ」政策の影響が大きい
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