2019年度に過去最大の赤字を出した日本製鉄は、橋本英二社長の下でV字回復を成し遂げた。橋本社長は就任からまもなく丸4年を迎え、バトンタッチの時が近づいている。日本製鉄関係者らへの取材を基に、最新の役員人事を深読みし、次期社長候補を大胆に予測した。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
V字回復を成し遂げた橋本社長
後継者の「大本命」とは
「昔から橋本さんは部下に無理難題を押し付けていたから、社長就任が決まったときには周囲の人たち皆が肩を落とした」(日本製鉄グループ中堅社員)
日本製鉄の橋本英二社長(67歳)が2019年4月に就任した当初は、このような悲観論も上がっていた。
しかし、橋本社長は就任直後から高炉休止をはじめとする改革を断行し、V字回復を成し遂げた。日本製鉄の連結事業利益は、20年3月期には2844億円もの大赤字だったが、22年3月期には9381億円となり、旧・住友金属工業との統合後における最高益をたたき出した。自ら陣頭に立って「無理難題」をクリアして見せたのだ。
橋本体制発足からまもなく4周年を迎える日本製鉄では、来年にも“政権交代”が行われるとみられている。強力に改革を推し進めてきた橋本社長の後継者は誰になるのだろうか。
そのヒントは、今年2月に発表された役員人事にある。新たに2人が副社長に就任し、次期社長候補として名を連ねたのだ。
次ページでは、日本製鉄関係者の取材を基に、今回の役員人事の意味するところを深読みし、次期社長を大胆に予測する。「ポスト橋本」の大本命は誰なのだろうか。