総予測2023#59Photo by Masato Kato

販売価格改善が急務となっている日本の鉄鋼業界。鉄鋼大手のJFEスチールも、2022年は値上げを進めてきた。23年はさらなる値上げに踏み切るのだろうか。特集『総予測2023』の本稿では、JFEスチールの北野嘉久社長に23年の価格と数量の戦略を聞いた。併せて、日本鉄鋼連盟会長も務める北野氏に、業界全体の課題となっている「グリーン鋼材」の普及についても語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「量から質への転換」で収益力改善
23年の価格政策は?

――ウクライナ情勢や中国のロックダウンなど、先行きの見通せない状況が続いていますが、2023年はどうなるとみていますか。

 国内の鉄鋼需要は、今の中国ほどの落ち込みはないでしょう。23年は、国内の製造業は踏ん張ってくれると考えています。

 当社も日本製鉄も「量から質への転換」を打ち出して生産能力の縮小を進めているので、国内の需給は締まってくることになります。

 一方、海外の市況は全体的に厳しいとみています。ロシア・ウクライナの問題が継続する限り、エネルギーは高騰状態が続くでしょうし、ヨーロッパの経済見通しはかなり暗い。

 アジアの状況も楽観視できません。

次ページでは、23年の価格戦略を語る。22年に値上げを進めてきたJFEは、さらなる値上げに踏み切るのだろうか。併せて、グリーン鋼材の販売戦略にも触れている。設立20周年を迎えるJFEの「次の20年」の戦略とは。