運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。

なぜ医者は風邪のときこそ「15分間のウォーキング」が効くと言うのかPhoto: Adobe Stock

「風邪」のときこそ歩く

「風邪のひき始めは、ジョギングしてサウナ」

 これはミシガン大学に留学していた頃の友人の言葉です。

 この後ご説明しますが、この言葉は実は理にかなっています。

 ただ体力があり余っている学生時代とは違いますから、今の私はこれを「風邪のひき始めはウォーキングとサウナ」に言い換えたいと思います。

「ランニング」より「ウォーキング」がおすすめな理由

 常日頃から激しい運動をしている人は別として、実はランニングのような強い運動を長くすると普通の人は免疫力が抑えられてしまいます。(※1 ※2)

 でもジョギングやウォーキングならそこまで強度は強くない。

軽い運動は免疫力を上げる

 その場合は運動をすると逆に免疫力を高めるNK細胞が活性化します。(※3)

 ですから風邪の極めて初期にはウォーキングをすることでウイルスを撃退するというわけです。

ただしウォーキングは「15分程度」に

 ただ風邪のひき始めのウォーキングは、15分程度にとどめるようにしてください。

 なぜなら風邪のときは体を鍛えるわけではありませんので、免疫が少しアップする程度の軽度の運動にとどめるくらいのバランスがちょうどいいからです。

 ※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。

【参考文献】

※1 Nieman DC.  Exercise, upper respiratory tract infection, and the immune system. Med Sci Sports Exerc. 1994 Feb;26(2):128-39. doi: 10.1249/00005768-199402000-00002.

※2 Nieman DC, et al.  The Effects of Moderate Exercise Training on Natural Killer Cells and Acute Upper Respiratory Tract Infections.  Int J Sports Med. 1990 Dec;11(6):467-73. doi: 10.1055/s-2007-1024839.
※3 Bigley AB, et al.  NK cells and exercise: implications for cancer immunotherapy and survivorship.  Discov Med. 2015 Jun;19(107):433-45.