運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
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「ゆるい運動」が体にいい?
アメリカアリゾナ州立大学の研究グループの調査によると、日頃行っている運動とその後の死亡率との関係を調べた結果、次の図のような結果が出ました(※1)。
つまり「激しい運動は、体にいいとは限らない」ということです。
「ゆるい運動」が体にいいという科学的根拠がある
たとえば筋トレも、たしかにウォーキング同様、死亡率、心血管疾患、がん、糖尿病のリスクを下げるのですが、週に130分以上などやり過ぎると逆効果になるという東北大学の調査(※2)もあります(ただし糖尿病だけは実施時間が長ければ長いほどそのリスクは低くなる)。
ランニングも「筋肉が増える・心肺機能が上がる・ストレス解消」といった効果がある一方で、「ケガ・ひざ痛・足底筋膜炎になる」リスクがあります。
運動で免疫力を下げてはいけない
激しい筋トレやランニングで疲労が蓄積すると「免疫力が下がり、感染症リスクが上がる」というのも呼吸器内科医としては見逃せない点。
そう考えるとウォーキングがいいのです。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。
※1 Sheehan CM, et al. Associations of Exercise Types with All-Cause Mortality among U.S. Adults. Med Sci Sports Exerc. 2020 Dec;52(12):2554-2562.doi: 10.1249/MSS.0000000000002406.
※2 Momma H, et al. Muscle-strengthening activities are associated with lower risk and mortality in major non-communicable diseases: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Br J Sports Med. 2022 Jul;56(13):755-763. doi: 10.1136/bjsports-2021-105061. Epub 2022 Feb 28.