「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

【効果抜群!】「辛い気持ち」が消えていくシンプルで簡単な方法「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」より。イラスト:さかたともみ

「言葉化」は「自分を知ること」でもある

「言語化」は想いを気持ちにして伝えることですから、主にコミュニケーションの文脈で使われることが多いと思います。

 しかし実は「言語化力」があがると、自分自身を知り、感情をコントロールしたり、具体的な行動に落とし込むことにも使えるのです。

 その理由は、自分でもわかっていなかった自分の本当の気持ちや頭の中の情報を、「言葉」として取り出して可視化できるようになるから。それまでよく見えなかった、おぼろげな物が、文字という二次元のものとして認識できるようになる。そのとき初めて人は、情報として受け取ることができるようになります。

 つまり、言語化とは、自分で自分に正しい情報を伝えることでもあるのです。

「なんか辛いなぁ」
「もう少し違うやり方がありそうなんだけどなぁ」

 このように、心の中や頭の中にかかったモヤを放置していても、事態は何も変わりません。
「辛い」という感情を本書のメソッドで具体化してみたら「忙しい」「孤独」「パワハラ」「睡眠不足」「無趣味」などいろいろな原因に結び付いていることに気づくかもしれません。

 そこに気づけば、「睡眠不足だから、まずは寝よう」など、すぐにできることから対策を講じることができます。また、「もう少し違うやり方」を具体化していけば、より生産性が高いwin-winのルートが見つかるかもしれません。

人生は、あなたの言葉でできている

 たかが言語化。されど言語化。
 人間は言葉を使ってコミュニケーションを図っています。言い換えれば、毎日毎日、瞬間瞬間、あらゆる場面で「言語化力」が問われているわけです。

 周囲の人たちは、そんなあなたを言語化の質で判断します。

 あなたの体が、あなたの食べた物でできているように、あなたの人生は、あなたが育み、発する言葉でできています。

 頭の中で考える言葉を含め、あなたの言葉が変われば、あなたを取り巻く環境も、人生も変わっていくのです。

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。