自分にとって「害になる親」、つまり毒親からは逃げるしかない、とは言われますが、実際に毒親との絶縁は簡単なことではありません。絶縁してもなお追いかけてくる毒親、周囲からの残酷な言葉……ここでは実際に毒親と絶縁した経験を持つ著者が、同じ悩みを持つ人々へ苦しみから抜け出す糸口を綴った書籍『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(シェリー・キャンベル著 ダイヤモンド社)から抜粋し、再構成して紹介します。

【毒親育ちの特徴】「健全な母性・父性」の親だけが与えられる、子供の幸せな人生を約束する「最も価値あること」Photo: Adobe Stock

「健全な母性」が子供に与えるもの

 私たちは本能で、母親から無条件に愛され、支えられたい、と願います。それが叶わないのは、想像を絶する痛みになります。

 母親の愛を受けられないというのは、あのやわらかい温もりに抱かれて守られているような安心感を知らずに生きることです。誰しも生まれて最初に受ける愛情は、母親の愛であり、最初にあなたを抱き締め、守り、育て、恐怖を振り払い、痛みをやわらげてくれるのもまた母親なのです。

 母親は、子供にその子だけの存在意義を与える初めての存在です。子供が自分自身の本当の価値を知ることができるのも母親のおかげなのです。

 たとえ周囲から浮いてしまっても、自分だけの道を行く決断をするとき、母親は背中を押してくれるでしょう。そして、子供の幸せのために戦い、子供が自分らしく在ろうと突き進むための力をくれます。

 自分が無条件に愛されてしかるべき、価値ある存在だと強く心に刻むためには、健全な母性が必要です。しかし虐待サバイバーの多くは、幼少の頃に母親の愛情を享受できなかったため、そのような自尊心が欠けています。