自分にとって「害になる親」、つまり毒親からは逃げるしかない、とは言われますが、実際に毒親との絶縁は簡単なことではありません。絶縁してもなお追いかけてくる毒親、周囲からの残酷な言葉……ここでは実際に毒親と絶縁した経験を持つ著者が、同じ悩みを持つ人々へ苦しみから抜け出す糸口を綴った書籍『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(シェリー・キャンベル著 ダイヤモンド社)から抜粋し、再構成して紹介します。
毒家族は
金銭を武器にする
前回の記事『【毒親の特徴】「普通育ちの人」に理解してもらえなくて、苦しい。第三者から受ける残酷な「二次的虐待」』に続き、たとえこちら側から連絡を取るのをやめても、虐待と支配をあきらめない場合が多い毒家族のやり口について、触れていきます。
前回ご紹介した「贈り物や手紙」と同じく、毒家族がよく使ってくる二次的虐待の手口の1つが、「経済的虐待」です。
経済的虐待は、精神的虐待を行う親が、子を操るために金銭を武器にするのは常套手段です。
親があなたに何か与えるときは、大抵の場合、あなたに罪悪感を抱かせ、恩を着せるためでしかありません。
毒親にとって、子は便利な道具にすぎず、それぞれの欲求や願望や感情を持つ一人の人間として扱ってはくれません。
このようなタイプの家庭においては、お金をかける代償として、大人しく従うことを要求されます。合理性の欠片もない、相手を支配しようという思惑に満ちた家庭環境です。
毒親の多くは、子どものためにお金を使うのは、普通の子育ての一環ではなく、犠牲を払う行為だと考えています。
私のクライエントたちの話でも、シャンプーや食料といった生活必需品を買ってやることさえ厭(いと)う親がいると聞きます。そんな親に育てられたら、子は親にお金を払ってもらうたびに、自分が彼らの負担になっているような気がしてしまいます。
それも、家庭が経済的に困窮しているからではなく、自分がお金をかけるに値しない人間だと感じるからです。
毒親と健全な親は
ここが決定的に違う
悲しいことに、このような家庭環境で育った人は、大人になってからも、何かをもらうことになかなか慣れず、人に助けてもらうことにも抵抗があります。何かを受け取ったら反射的に、相手に借りができたように感じてしまうのです。
そのせいで、自分を愛してくれる人たちに何かをしてもらっても素直に喜べません。
私のクライエントたちを含め、これまで私が出会ってきた人たちは、過去に家族から経済的な援助を受けたり、何かしらの形で金銭を受け取ったりしたことのある人がほとんどです。ですが、その中で、経済的に甘やかされたり、過剰な援助を受けたりした人は1人もいません。
つまり、経済的虐待とは、甘えた人間が理不尽な金銭的要求をする行為ではありません。
健全な家庭では、親や祖父母、時には兄弟や親戚までもが、愛する家族のために、相手が大人になってからも経済的に手を差し伸べるのはなぜでしょうか。
それは、健全な家族は、相手の年齢にかかわらず、愛する人に満たされていてほしい、と願うからです。