今までの地位が逆転し
AIクソ上司が爆誕する

 それのどこが恐怖かというと、今の組織の中で安泰な地位を築いていけると思っていたすべての人が、その足をすくわれてしまう未来がやってくるということです。

 いい大学を出て、いいスキルを身に付け、これでイケると考えていた皆さんの人生設計が、生成AIの出現で大きく変わらざるをえなくなる。その恐怖をわたしたちは理解し、想定しておくべきなのです。

 実は未来予測専門の経済評論家である私が、生成AIが出現して以降のこの一年、一貫して研究し論考してきたのはこの点です。

 生成AIが出現することで社会の序列はどう変わるのか? 先ごろその成果を一冊の本にまとめることができました。それが『「AIクソ上司」の脅威』という書籍です。

 この本では2024年から2030年ぐらいまでのこれから数年先の未来に、わたしたちがどのような変化に見舞われるのか、そしてそれは危機なのか機会なのかについて考察をまとめてあります。

 その考察の最後にラスボスとして登場する「AIクソ上司」とは、それまでノーマークだった人間が、ゲームバランスを崩した世界で強化人間として大いに能力を開花させることになり、私たちの序列の上に君臨するようになるという話です。

 悪夢のような未来を象徴する存在として、それを「AIクソ上司」と名付けました。

 生成AIへのGAFAMなど巨大IT企業の投資金額は巨額です。この先、その投資は極めて近い未来に製品となり、スマホと同じく私たちが日常的に使う道具へと進化していきます。

 最初の半年や1年は、真っ先にそのような道具を使い始めた人が人生のゲームバランスを優位に変えて、自分の序列を一つ引き上げることができるようになるでしょう。しかし、その差はあっという間に消滅します。というのもすべての人が生成AIを使うようになることで、アウトプットに差が生まれなくなるのです。

 そうなった時点で、誰も予想していなかった形で、生成AIによって強化人間となった人々が、人生のゲームバランスを優位に変えて人生の序列の上位に出現するようになります。

 ここから先は書籍に書かなかった、とっておきの話を披露させていただきたいと思います。強化人間のペルソナ、つまりどのような人々が序列の上に来るのかを象徴する特定の人物像の話です。

 実は「AIクソ上司」についてはドラマ化の企画が出た場合のために、すでにプロットを考えて用意してあります。生成AIが出現した直後、ある大企業を舞台に社内の序列を大きく変える変化が起きるのですが、その中心ともいえる二人の主人公を設定してみました。これは現実の社会にこれから起きる変化をイメージするために役立つ設定です。

 難しい話をするよりも、この二人の人物の設定をご覧いただくだけで、実は生成AIの本当の恐怖をわかりやすく理解できると思うので、紹介させてください。