激論!どうなるリニア新幹線#3Photo by Takahiko Hara

静岡工区の着工のめどが立たず、2027年開業が危ぶまれているリニア中央新幹線だが、静岡市長は「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」という。#1#2に続き、ジャーナリストの池上彰氏が、静岡県・川勝知事の元側近で現在静岡市長を務める難波喬司氏と対談した。(ジャーナリスト 池上 彰、静岡市長 難波喬司 構成/梶原麻衣子)

大きな活断層と
フォッサマグナ

池上 リニアを巡る問題には、静岡で問われている川の水の問題や、残土置き場の問題以外の危険性を指摘する声もあります。例えば駿台予備学校の名物物理学講師で全共闘世代の山本義隆氏は、南アルプスは造山活動の激しい山岳で、直下には中央構造線と糸魚川―静岡構造線という2つの大きな活断層が走っているため、地震のリスクを懸念しています。また、活火山が多く、地震や地滑りが起こりやすいフォッサマグナも通っています。

「フォッサマグナ」とは:
新潟県から伊豆半島にかけて南北に横断する地下6000メートル以上もの溝に堆積物が積み重なった地帯。この地帯では南北に活火山が列をなし、多くの断層が走っている。フォッサマグナを境にして地質が分断されている。

フォッサマグナ青線に囲まれたオレンジ色の部分はフォッサマグナ、左側の青線が糸魚川―静岡構造線、赤線が中央構造線。画像=CC BY3.0/Wikimedia Commons  拡大画像表示

難波 確かに問題の指摘としては理解できます。大井川上流の一番の問題は地層が立っていること。通常の平野は古い地層の上に新しい地層が乗っかっているので、トンネルを掘るにしても均質な層を掘り進んでいけばいいし、地震が来ても均質な層の中で揺れる分には影響が少ない。

 しかし大井川上流地域では地層が横ではなく縦に立っている状態なので、それを串刺しする形のトンネル内での揺れ方が部分ごとに違ってくるという点があります。