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中国人の出国を制限する新たな規定
2026年9月15日、中国では「国務院の出入国管理に関する規定」という、19条からなる行政法規が施行される。
李強首相が署名した、国務院令第八四一号として公布されたこの規定には、海外の安全情報を政府が公開すること、出入国申請の理由が真実かつ合法であるべきこと、仲介サービスの届出制、外国人の入国禁止措置などの行政手続きの規定が並ぶ。
条文をさらっと読むと穏当にも見える。中国政府自身も、目的は「出入国管理の規範化と、合法的権益の保障」と説明している。
ところが、1つ1つ注意深く読むと、違和感のある条項にぶつかる。それは第4条の「中国国民が輸出管理や技術輸出入管理の規定に違反し、国家の産業安全や技術安全を害する恐れがある場合、商務省など主管部門の判断で出国を禁じうる」と定めた部分だ。他の出国禁止措置には「6カ月~3年」という期限が置かれているが、この技術安全に関わる措置にはその期限が明記されていない。
チャイナ・アナリストの間では、これを「史上最も厳しく、最も不透明な国境管理」と評する声も出ている。第6条は、出国禁止の決定について、事実・理由・根拠・救済手段を本人に書面で告知すると定めているが、国家安全や刑事事件の捜査などに影響しうる場合には、事前に本人へ告知しないことが認められている。これを素直に当てはめると、場合によっては、当事者(=中国人)は自分が出国禁止の対象になっていることすら知らないで空港で足止めされ、たとえそれが理不尽なものであっても、本人が事前にその理由を知ることができない可能性がある。
もう1つの違和感は、この規定が「仲介サービスへの監督強化」を重視している点だ。
出入国を仲介する組織には届け出が課され、場合によっては監察機関への通報義務が生じる。仲介業者にも届出や監督が及ぶことで、出入国関連サービスに対する行政の関与が強まることになる。つまり、当局による管理に加え、民間企業にも厳しい“審査”が求められることになる。
ただし、9月15日に規定が施行されたからといって、直ちに中国人の出国が大幅に制限されるわけではない。誰を、どのような基準で出国禁止の対象とするのかといった具体的な運用や細則は、まだ明らかになっていない。現時点で中国人の出国が大規模に制限されると断定できないものの、この規定がかなり広範囲にわたって移動の自由を制限しうることは確かだ。
これは日本に大きな影響がある。日本に住む中国人留学生やビジネス関係者、そして日中間を往来する無数の人々が、この規定の運用次第では移動を左右されうるからだ。
では、なぜ世界第2位の経済大国となった中国政府は、自国民の「外へ出る自由」を警戒するのか。その理由をたどっていくと、清朝末期から一世紀以上にわたって繰り返されてきた、ある「パターン」にたどり着く。そして、その多くに、日本が大きく関わってきたのである。







