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日経平均株価7万円突破を主導した半導体セクターだが、キオクシアホールディングスの株価が高値から最大60%超下落するなど、直近は値動きの荒い展開が続いている。AI半導体への期待は根強い一方で、複数の不安要素が台頭しているからだ。特集『業績、株価、賃金、就職… 5年後の業界地図』の#9では半導体セクターが抱える五つの懸念について解説しつつ、生成AIからAIエージェント時代に移行しつつある半導体セクターのポイントや注目企業の動向を分析。5年後に躍進する企業について具体名を挙げて紹介するだけでなく、半導体業界が抱える意外なアキレス腱についても切り込む。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
好決算連発の半導体企業が再び主役に!?
先行きの不透明感を払拭できるか
半導体株は不安の壁をよじ登ることができるのか――。
半導体関連各社の2027年3月期の第1四半期決算が出そろった。アドバンテストが通期業績予想を上方修正、キオクシアホールディングスも上期の当期利益予想を2兆1121億円と発表するなど好調な決算が目立つが、一部の企業を除くと7月から調整していた株価は完全復調とはなっていない。好決算連発でも先行きの不安感が拭い切れていないからだ。
だが、岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは、「半導体業界には強い追い風が吹いており、今後数年間も強い追い風が吹き続ける」と分析する。
「中長期的にも強気でみている。むしろ強気のレベルが前倒しされている。従来は建物のスペースの問題などにより、いったん28年ごろに踊り場を迎えるとみていたが、韓国で大型投資が実行されることもあり、30年ごろまで直線的に成長する確度が高まった。昨年の半導体製造装置市場は1200億ドル前後だったが、30年ごろには2000億ドルを優に超えるだろう」(斎藤氏)
楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは「ChatGPT、Geminiなどの生成AIから、AIエージェントへの移行が進行しつつある」と指摘する。本格的な運用には試行錯誤が必要ではあるものの、情報システム費用が増加する中、自動化やコスト削減需要が高まっているからだ。
「AIエージェントでは、一つの指示に対して複数の推論が発生する。社内のデータベースに回答がない場合には、RAG(検索拡張生成)により社外のデータベースやウェブを大量検索して自分で学んでいく。学習と推論が格段に増えるため、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)に加えてNAND、SSDが一躍スターに躍り出た。データセンター内部が巨大になっていることも、SSDとDRAMの需要を増加させている」(今中氏)
単純化して解説すると、従来は単発の指示が中心だったため、GPUが脚光を浴びていた。だが、AIエージェント時代は、GPUに加えて中間データを保存するDRAMという作業デスク、NANDという巨大倉庫、さらには司令塔に当たるCPU(中央演算処理装置)の全てが重要になるというわけだ。
半導体関連の裾野は幅広いが、今中氏は全分野が有望だとみている。
「メモリー、半導体製造装置、電子部品、電源、ケーブル、光半導体の基板になるインジウムリンウエハーまで、隣接セクターを含めてデータセンターの機器の中にある製品全てが期待できる状況にある」(今中氏)
また、近年の半導体関連企業は、好調な業績を背景に待遇改善を加速させている。直近の上場企業の平均年収ランキングでは、50位以内にディスコ、レーザーテック、東京エレクトロンなどが登場。致命的になりかねない課題については後述するが、学生からの就職人気も向上している。
とはいえ、株式市場が半導体関連の今後を信じ切れていないように、不安要素が少なくないことも事実だ。「メモリー価格はバブルではないのか」「日本勢は技術的な優位を維持できるのか」などである。
次ページでは半導体セクターが抱える五つの不安要素と、急失速しかねない意外なリスクにも触れつつ、今後数年間の半導体セクターをトップアナリストが分析。キオクシアやアドバンテストなど注目企業や、技術力と信頼性を武器に躍進する企業、現状のままでは失速しかねない企業について具体名を挙げて解説していく。








