税理士リバイバル#7Photo by Masato Kato

地方の有力事務所との経営統合を繰り返し、急速に規模を拡大している日本クレアス税理士法人グループ。2032年に「1000人・25拠点体制」の構築を掲げる同グループは、税理士法人のM&Aにどのような方針で挑んでいるのか。また規模を拡大した上で、どのような税理士法人になろうとしているのか。特集『税理士リバイバル!』の#7で、代表の中村亨氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)

独立当初はIPO支援が中心
2度の波を経験し方針転換

――現在、日本クレアス税理士法人は経営統合(M&A)による規模拡大を進めています。中村代表は監査法人トーマツ出身ですが、独立された当初から現在の拡大路線を描かれていたのでしょうか。

 最初は違いました。2002年に上場・IPO(新規公開株)コンサルティングとして独立しました。当時はITバブル崩壊後でしたが、不動産ファンドの台頭などで仕事は順調でした。

 しかし、06年のライブドア事件がきっかけで、ベンチャー企業のIPOが停滞し、顧客が半減してしまいました。

 転機となったのが、その後に導入された「J-SOX(内部統制報告制度)」でした。米国で大手監査法人のアーサー・アンダーセンが倒産し、日本でもカネボウの粉飾決算問題に関与した中央青山監査法人が業務停止処分を受け、事実上の解散へ追い込まれる事態が起きました。

 この事件によって、決算書に適正意見を出すだけでなく、その決算書を作成するプロセス自体の適正性も求められるようになり、当社も含めコンサルティング業界は潤いました。

――潤っていたのに、その後に税理士法人として拡大路線へかじを切ったのはなぜでしょうか。

 08年のリーマンショックによる景気後退です。06年のライブドア事件に続いて、2度の大きな市場変動の波を経験し、コンサルティング業務は景気の変動に対して脆弱であると痛感しました。

 その頃、税理士法人を急拡大させていた本郷孔洋先生(現辻・本郷グループ会長)とお会いし、顧問料という安定したストック収益を得られる業務への転換を決意しました。09年から実際に方向転換し、12年にはグループ内に社会保険労務士法人も設立して体制を整えました。

――しかし、AI(人工知能)の普及で記帳代行など、処理業務は淘汰されるといわれています。これからの税理士法人に求められる役割とは何でしょうか。

M&Aを活用して拡大を続ける日本クレアス。一方でAI時代に記帳代行等の定型業務が淘汰されるといわれる中、税理士法人の将来像はどうあるべきなのか。次ページでは生き残りのための戦略と、中村代表のM&Aに対する考え方を詳しく聞いた。