「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。

新年会を経費で落とすための「意外なルール」とは?Photo: Adobe Stock

飲食費を経費にするための条件

 本日は、会社の「福利厚生費」の活用方法をお伝えします。

 福利厚生費とは、会社が従業員に提供するサービスにかかる費用のことです。給料やボーナス以外で役員・従業員に支給される経済的な利益を「現物給与」といいます。たとえば、社宅や家賃補助・通勤手当などです。原則として、現物給与には所得税・住民税が課税されます。かつ、源泉所得税の対象にもなります。

 しかし一定の要件を満たせば、「福利厚生費」として計上することが認められています。福利厚生費として認められると、所得税・住民税が非課税となります。また、会社にとっても、福利厚生費として計上された費用は利益を圧縮して、税額を減少させることができます。

忘年会、新年会、親睦会の活用

 忘年会や新年会、親睦会など、通常に行われている社内行事の会社負担額は、条件を満たせば福利厚生費になります。

 まず「全員参加」が原則です。特定の人だけで実施する場合には、給与あるいは交際費となります。

 当初は全員参加の予定だったものの、当日に何らかの事情で参加できなくなった従業員が複数いた場合は、問題とはなりません。また、従業員が数千人もいるような大きな会社の場合であれば、部署ごとの開催でもかまいません。

その他の条件は?

 ちなみに、1次会の後に自由参加の2次会が開かれた場合、2次会については福利厚生費にならず、給与あるいは交際費となります。また、豪華すぎる飲食も交際費となります。

 なお、親睦会の場合は、開催頻度が高すぎると給与や交際費となりますので、注意してください。頻度は最大でも月1回ほどが目安となります。

(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)