横浜創英中学・高等学校(横浜市神奈川区)は2024年も大人気で、予想倍率2ケタが並んでいる

茨城県と埼玉県で動きのある学校

 今回は男子受験生編ということで、首都圏の男子校と共学校について、動きのある入試を取り上げたい。これまでは入試日程に沿って見てきたが、今回と次回(女子受験生編)は、都県別学校ごとに2023年の実倍率と24年の予想倍率を記していく。
 
 予想倍率の基になる四模試とは、四谷大塚、サピックス、日能研、首都圏模試という、中学受験生ならばいずれかを複数回受験しただろう代表的な模擬試験である。各入試の志望者数の合計を前年同期の数と比較することで、24年の入試の実倍率を予想している。
 
 7月、9月、10月、11月という4回の入試について算出した予想倍率を並べ見ることで、四模試最終予想倍率としたい。各模試の志望者数が多くても、前年同期比で変動が少ない入試は取り上げていない。ここにない入試の予想倍率は23年実倍率の上下10%以内に収まるものと考えていただきたい。
 
 24年入試の受験生となる首都圏小6生は、前年比2%ほど減少している。新型コロナ禍明けの23年入試は22年並みの受験者数となったものの、これまでの模試の前年比受験者数を見る限り、全体では1%強ほど受験者数が減りそうな情勢にある。
 
 では、24年入試が少しは競争緩和するのかというと、難関・上位校にさほど変化はないだろう。中位校では受験者減が見られるかもしれない。その予兆なのか、予想倍率が1倍に近づく「全入状態」の入試も少なからず見られる。そうした入試については、「とても受けやすくて受かりやすい入試」として適宜紹介しておいた。
 
 まずは、茨城県埼玉県の学校から見ていこう。

「○月○日の」で始まる箇所以外は、原則として学校名入試日(午後入試は『午後』)、[入試名]23年実倍率24年予想倍率という順で記載するため、前回までのようにそれぞれに「実倍率」「予想倍率」と記すことは控えた。なお、男女別志願者数と合格者数を公表していない共学校では、実倍率を男女に案分して推計したものを含んでいる。
 
 つくばエクスプレス「研究学園」駅南側への移転計画が公表された茗渓学園(つくば市)は若干の緩和傾向にあるようだが、同じ茨城でも1月17日の江戸川学園取手[1回]1.6倍は、(24年に)2倍のせも見えてきた。
 
 埼玉県の入試には東京や千葉、場合によっては神奈川からも受験生が押し寄せる。そのため、一般入試としては1月10日解禁の埼玉の規模は大きい。予想倍率は1倍台半ばから前半が多く、「合格実績」を得やすいためでもある。もし2倍を超えるならかなりの人気試験といえる。
 
 さいたま市では、1月10日の青山学院大学系属浦和ルーテル学院の[1回]1.8倍が、2倍台半ばに向かう勢いだ。埼玉栄は全体的に上昇気味で、特に13日午後[5回進学・難関・医学]2.7倍は3倍超えもあり得る。浦和実業学園は近年動きがあり、25日[3回]1.7倍は2倍のせもあり得るが、他の入試は若干緩和気味で、1倍台半ばから前半と受けやすい。
 
 開智は15日[先端2回]2.8倍が3倍のせは確実な状況が続く。24年から新たにS特待生を対象に難関大狙いの「創発クラス」を設けている。栄東の16日[B]2.5倍は2倍台前半への緩和が見込まれる。蕨市にある武南は、10日[1回午前]1.3倍が1倍台後半に上がる一方で、10日[1回午後]1.2倍は動きがなく、受けやすくて受かりやすい。
 
 獨協埼玉は全体的に緩和傾向で、11日[1回]1.5倍は受けやすくて受かりやすい状況で、狙い目だ。12日[2回]2倍と17日[3回]1.7倍も1倍台半ばへの緩和が予想される。春日部共栄は10日[1回午前]1.6倍がわずかに上向きである。昌平の10日[T1回]1.8倍も1倍台半ばに緩和しそうだ。西武学園文理は入試回によって上下する。10日午後[1回特待]1.9倍は1倍台半ば予想が続く一方で、12日[2回]1.3倍は2倍台前半に、23日[3回]1.8倍は3倍に乗せるかもしれない。星野学園も全体的に緩和気味だが、11日[理数1回]1.4倍がさらに受けやすくて受かりやすくなりそうだ。
 
 男子校は3校ある。2月3日の立教新座[2回]4.7倍は3倍台半ば程度まで緩和するかもしれない。城北埼玉は全体的に上昇気味で、特に11日[2回]1.3倍は1倍台後半が予想される。城西川越は10日午後[特選1回]3倍の5倍台半ばを筆頭に、10日[1回]1.3倍や11日午後[2回]1.2倍は1倍台後半へ、20日午後[3回]1.5倍は2倍台前半とさらに勢いがある。