イスラエルの地上作戦が始まってから2カ月近くたち、ガザ地区に注目が集まっている。しかし、ガザを巡る分断は米国の政策と戦略面の現実との間に乖離(かいり)があることを示している。中東は大規模戦争に向かっており、米国にはガザをはるかに超える戦略が必要だ。11月下旬以来、ガザの戦争を巡るバイデン米政権の方針は、政策措置を取らずに、不満を示す一般的な声明を国内向けに出すというものだ。米国とイスラエルはガザの戦後構想について意見を異にしている。バイデン政権はパレスチナ自治政府をガザ統治の最も現実的なパートナーと考えている。イスラエルは、自治政府の腐敗や無能さ、ガザ・ヨルダン川西岸両地区での不人気ぶりからして、米国の考えを受け入れられない。自治政府が統治するガザはハマスの直接支配ではないにせよ、ハマス式の急進主義に逆戻りするだろう。