13歳でも分かる!中国の「台湾有事」が本当に心配な根深い理由写真はイメージです Photo:PIXTA

近い内に起こる可能性が懸念される中国の台湾侵攻。その背景には、中国の指導者が、自国民からリーダーとして認められなければならない本質的な理由が存在する。いま必須のビジネス教養である国際情勢を、平易な言葉で分かりやすく解説した田中孝幸『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・編集してお送りする。

中国の指導者が台湾を攻め取ろうとする理由

『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』では、高校生1年生の大樹と中学1年生の杏の兄妹が、「カイゾク」と呼ばれるアンティークショップ店主との対話を通じて世界の仕組みを学んでいく。

 今回のトークテーマは、中国がなぜ戦争を起こそうとするのか。カイゾクが大樹と杏に説明する――。

カイゾク 中国のリーダーを選ぶ方法は、日本の選挙とは違う。基本的に、国民が投票でリーダーを選んでいないんだよ。

 えっ、そうなの? 日本はよくやってるよね、選挙。良さそうだなと思う人に投票して、その人がやっぱりあんまり良くなかったら、次の選挙の時は投票しなければいいんでしょ?

カイゾク ああ、日本はそうだな。杏さんが言った、国民が選挙で代表者を選ぶ仕組みが、民主主義というものだ。自分が選んだ政府であれば、納得感があるだろう。では民主主義でない国では、そのリーダーに納得できない場合、国民はどうするだろうか? 例えば、フランス革命ではどうだったかな?

大樹 えっと、たしかフランス革命では、王様を殺して、民主主義になったんですよね。

カイゾク そう。王様も王妃もその取り巻きの貴族たちもギロチンで殺された。つまり、リーダーを暴力で物理的に消したということだ。選挙がある国では、負けるということは権力を失うということだけだが、選挙のない国では、負けるのは往々にして死を意味する。民主主義の利点は、暴動やギロチンがなくてもリーダーを代えられるということにつきる。

大樹 じゃあ中国はその仕組みがないので、下手をすると国民に殺されると、リーダーたちは思っているのでしょうか?

カイゾク それは間違いない。だから生き延びるために必死だ。

 じゃあその民主主義にすればいいじゃない、中国もさ。

カイゾク しかし、実は世界で民主主義をちゃんとできている国というのは、そんなに多くない。そして必ずしも民主主義でなくても、国民を納得させることはできる。大樹くん、毛沢東はどうやって選ばれたリーダーだい?

 誰だっけ、それ?

大樹 今の中国を作った人だよ。どうやって選ばれたかは、えっと、建国の父だから、初めからリーダーというか。

カイゾク ふむ、毛沢東は、戦争を勝ち抜いて国を立ち上げたリーダーだ。その圧倒的な実績で、トップであることを国民に納得させたんだな。

 ふぅん、その人の後は?