1月2日、釜山で首を刺された韓国の野党第一党「共に民主党」の党首、李在明氏李在明氏1月2日、釜山で首を刺された韓国の野党第一党「共に民主党」の党首、李在明氏 Photo:Handout/gettyimages

1月2日、新年早々韓国に激震が走った。韓国の野党第一党「共に民主党」の党首、李在明氏が釜山を訪問中、不審な男に刃物で刺されたのだ。李代表といえば、昨年、日本が福島原発の処理水を海に放出することに反対して、ハンガーストライキを起こした人物でもある。最大野党の党首が暴漢に襲われたとなれば、警備上の問題や実行犯に対する怒りの声が沸き起こりそうなものだが、韓国国民の反応は意外な方向に向かっているという。そのワケは……。(韓国在住ライター 田中美蘭)

釜山訪問中に襲撃に遭い、現場は大混乱に

 2024年が明けて早々、韓国でも衝撃的なニュースが飛び込んできた。1月2日午後、野党「共に民主党」の党首・李在明(イ・ジェミョン)氏が、訪問先の釜山を視察中に突然男に刃物で襲われ、首を刺されるという事件に巻き込まれたのである。

 李氏が襲撃されたというニュースはマスコミ各社によって速報で伝えられ、テレビも一斉に特別報道体制となった。

 そのときの様子を動画で見ると、笑顔で地元住民たちと談笑していた李氏に一人の男が近づいたかと思うと、何かをたたきつける、あるいは振りかざすようなそぶりを見せ、それと同時に悲鳴が上がった。李氏が地面に倒れ込むと、その周りを側近など関係者が取り囲むようにして、李氏の首の傷口を押さえたり、李氏に声をかけたりしていた。救急車を要請する叫び声や、刺した人物を取り押さえろといった怒号が飛び交い、その一部始終はまるでドラマか映画のワンシーンのようでもあった。

 李氏はただちに釜山市内の病院に搬送され、程なく、手術を受けるためにヘリコプターでソウルの病院へ移送された。