4月の総選挙への影響は?

 また、今回の事件が4月に控えている国会議員総選挙へ影響するのではと懸念する声も出ている。事件によって「共に民主党」や李氏の熱狂的な信者が、右派の暴力的な政治思想を主張し、それを政権批判につなげることで世論の同情票を誘おうとしているのではないかという見方もある。

 現に「世間から忘れられた存在となり、静かに暮らしたい」と言って大統領を退任した文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、何かにつけて政権批判を行い、選挙を見据えたかのような健在ぶりをアピールしている。

「共に民主党」は常々、尹政権が「社会の格差と分断を広げ混乱を招いている」と主張し、政権批判を行っている。もちろん、尹政権の言動がすべて評価できるとは言えないものの、分断と混乱を広げたという観点で比較すれば、確実に文前政権の方が上だと思うのだが……。

 大物政治家が襲われるという衝撃ニュースで始まった韓国の2024年。これから4月の選挙に向けて、与野党の攻防はさらに活発化していくものと思われる。