【能登半島地震】なぜテレビの災害報道はすぐ通常番組に戻ったのか?変わる日本人の「自粛観」能登半島地震で見えてきた、これまでと変わりつつある「自粛」の認識とは Photo:AP/アフロ

年明けから能登半島地震に襲われた日本列島。東日本大震災を思い出した人も多かったのではないだろうか。発生時、正月休み中のテレビでは特番を切り上げての緊急地震速報と関連報道が続いたものの、ほどなくして民放各局はバラエティ番組に戻していた。東日本大震災時の「自粛」と比べて随分切り替えが早い印象がある。世間の自粛の認識はどう変わりつつあるのか。(フリーライター 武藤弘樹)

【筆者より】能登半島地震でお亡くなりになられた方々に、謹んでお悔やみを申し上げます。また、被災された方々にお見舞いを申し上げます。1日も早い安全と日常への復興を心よりお祈りしております。

地震発生直後、SNSに自粛の動き
過去の災害時と決定的に違うこと

 能登半島では余震も続いており、4日18時時点では安否不明者179名とのことで、いまだ予断を許さず、災害が現在も進行している状況だ。地震のごとき天災はいつ起こるかわからないゆえに「いつ起こってもいいように心構えをしておくべき」という防災の教訓はあるものの、日本人が1年のうちで最もゆったりと休養している元日にまさかそれが起きようとは、改めて天災の恐ろしさ、残酷さが身に沁みて感じられる。

 今回地震が起きた際に、YouTubeを含むSNSでは大々的な投稿の自粛が、各個人の判断によって行われた。個人的な印象としては、最初に流れがあって、そこに次々に人が加わって流れを強化したのではなく、各人がほぼ同時に動き出して自粛の流れが生まれた、という具合だ。

 注目度が高く、常に炎上リスクと隣り合わせのタレントやインフルエンサーは、自身の投稿に関してとりわけ神経を使ったようだ。

 そうした彼らの自粛のあり方を見ていると、「自粛」への新たな姿勢が垣間見えることに気づいた。本稿では災害時における「自粛」がどのように変わってきたか、変わっていくかについて述べたい。