米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年の銀行危機のさなかに新設した緊急融資制度「銀行ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」が「イージーマネー」と化している。BTFPの融資額は足元で過去最高を更新。市場予想が今後1年間で複数回の米利下げに転じたことから生じた奇妙な現象だ。銀行がBTFPを利用するために支払う金利は、将来の金利予想に連動して変動する。投資家が年末までに複数回の利下げを織り込むようになったため、銀行はBTFPの金利と、FRBに預ける準備預金に付く受取利息との差額を手にすることができる。昨年3月のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻を受けて預金者は動揺し、銀行は現金確保に奔走した。FRBは預金者保護を急ぎ、銀行からは期間1年の融資の担保として、価格の急落した債券を額面で買い取ることを決めた。BTFPが創設されたことで、預金者の間では銀行には潤沢な資金へのアクセスがあるとの安心感が広がった。
FRBの銀行救済策、利ざや稼ぎの手段と化す
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