ゲームと映画のコンテンツ差異を
解消する「新しい試み」とは
ゲームは、世界感、ストーリー背景、プレイ方法などを提供する。しかし、ストーリーの展開やレベルをクリアできるか否かはプレーヤー自身に委ねられている。だからこそ、プレーヤーは強い没入感とコントロール感を持つことができる。一方、映画では観客がストーリーをコントロールできない。観客は、鑑賞後はさておき、鑑賞時には受動的に情報を受け取るだけである。
ゲームのファンの場合、ゲームで得られるインタラクティブ性による高揚感が映画では失われる。ゲーム未体験の観客は、ゲームプレーヤーの観客をある程度想定して制作された映画から充実感を感じることができない。
現在、映画製作会社とゲーム制作会社は新しい解決策を見出そうとしている。後の改編を容易にするために、映画製作関係者、さらに一部の俳優が、ゲームの制作プロセスに直接関与することは、その一例だ。
『ゲーム・オブ・スローンズ』の作者であるジョージ・R・R・マーティンは、ゲーム『エルデンリング』の背景ストーリーを執筆した。ソニー傘下のアクションゲーム『デス・ストランディング』は、『ハンニバル』の主演マッツ・ミケルセンにモーションキャプチャー装置を着用させ、ゲーム内の象徴的なキャラクターを演じさせた。
ゲームを原作とした実写映画の品質を向上させるため、一部の大手ゲーム会社は個別に映画製作部門を設立し、映画とゲームのコンテンツ差異をよりよくバランスさせようとしている。ソニーは2019年に映画スタジオPlayStation Productionsを設立し、PlayStationのゲームIPを専門的に改編している。
こうした様々な新しい試みを通じて、ゲームの実写映画化が発展する未来を期待したい。
(フロンティア・マネジメント シニア・ディレクター 徐平)