エリアマーケティングの観点が必要

 これまで不動産投資をする場合に、エリアマーケティングはあまり重視されてきませんでした。
 というのは、賃貸住宅への不動産投資というものが日本で始まって以来、日本全体の人口が増加しており、減少するということは一度もありませんでした。ですから、仮にエリアごとに需給のばらつきがあったとしても、需要が全体的に増加することで個別のエリアの需給の偏在をある程度吸収してきていたからです。

 ですから、その駅がどのような駅であれ、「駅から徒歩10分以内」などという基準で物件の選択が行われてきたわけです。
 しかし、本来、物の価格は基本的には需給によって定まるものであり、不動産の賃料もその例外ではありません。賃貸需要が多いにもかかわらず、物件の供給が少なければ賃料相場は高止まりするでしょうし、逆に賃貸需要が少ないにもかかわらず、物件が過剰であるとすれば、賃料はどこまでも下がることになります。
 また、不動産賃貸市場においても、空室リスクは、賃貸物件の需要と供給される物件数によって決まることになります。賃貸需要が多いところでは、空室リスクは少ないでしょうし、需要が少ないエリアに間違って投資してしまえば、常に空室のリスクにさらされることになるわけです。

 そこにきて、今世紀初頭から日本の人口が全体的に減少を始めているわけですから、今後はエリアによる需給の偏在は顕著に現れてくることになります。
 その意味では、不動産投資においてもマーケティング的な観点を外すことはできません。