ダイハツの不正を解説した記事の文末に「ダイハツの『解体的出直し』がスズキとダイハツの統合にまで結び付く可能性も、あながちあり得ないこととして想定されよう」と筆者は記述した。その文章に対しての「ないですから」ということだったのだ。

 ともあれ、鈴木俊宏社長は「うちも過去、燃費問題で不祥事があったし、ダイハツさんは大変だがうちはうちでしっかりやっていかねば」と自省していたのが、いかにも鈴木俊宏社長らしかった。

インドで6000億円超の大型投資を発表
積極経営に出る鈴木俊宏社長

 さて、本格的な仕事始めとなった1月9日以降の自動車・モビリティ業界の話題は、米ラスベガスのテクノロジー見本市「CES」で持ち切りだったが、そのタイミングで鈴木俊宏社長はインドを訪問している。

 インドではモディ首相と懇談したほか、モディ首相の地元であるグジャラート州では四輪車を増産する大型投資を大々的に発表した。

 インド現地に約6600億円を投じ、年産能力100万台の工場を新設するほか、既存工場の能力も年25万台引き上げる計画を明らかにしたのだ。今回発表した投資分を合わせ、インド全体で現在225万台の年産能力を30年度までに400万台程度にまで高める計画だ。

 スズキはインドの乗用車市場でシェア4割超を握る首位メーカーであり、22年3月にはグジャラート州政府と覚書を交わしBEV生産などに乗り出すことも発表している。

 だが、インドで圧倒的シェアを誇るスズキも、「インドは激戦区となっており、トップは安泰ではない。再度50%シェア奪還を図る」(鈴木俊宏社長)と引き締めを図っている最中だ。インド新車市場は23年実績で前年比7%増の507万9985台と2年連続で日本を上回り、中国と米国に次ぐ世界3位の市場の座を確立する巨大市場だが、競合も多く安穏とはしていられない。