二つ目は鶏の品種だ。ボリスブラウンという赤玉鶏で、白玉鶏より強健性があり、体が大きいため、ウイルスや細菌、暑さ、寒さなどのストレスへの抵抗力も強い。また、「赤鶏の卵は、卵の保護機能を持つ卵殻、卵黄膜など強度があり、雑菌侵入を防ぐ機能や、卵黄、卵白の盛り上がりの低下を遅らせる機能も高く、卵の日持ちもよい」と角田氏。より自然な環境で育てるために、雄も一定割合で一緒に飼い、有精卵も生産している。
三つ目は飼料の工夫だ。ポストハーベストのトウモロコシなど厳選した飼料を使用し、抗菌剤、抗生物質、酸化防止剤、カビ防止剤などの薬品は使用しない。鶏が好んで食べる野菜なども混ぜたオリジナルの配合で、「見た目もきれいでコクのある安全な卵を実現しています」と言う。
四つ目がクリーンな鶏舎で、卵を洗わない無洗卵であること。卵殻の周りにあるクチクラという雑菌を通さない膜があることで、劣化を遅らせることができる。
スイーツ店やホテルなど
直接取引も舞い込む
●株式会社角田養鶏 事業内容/養鶏業・鶏卵の生産、販売、従業員数/6人、所在地/群馬県前橋市下細井町817、電話/027‐289‐2638、URL/https://tsunotama.com/
販路は直営店、自然食品専門店や道の駅の他、パン店やスイーツ店、地元のホテルからの直接取引の引き合いも多い。「つのだの卵を食べると他の卵が食べられなくなる」といった声も寄せられ、「やりがいにつながっています」と明かす。
飼料の高騰やさらなる販路拡大などの課題もあるが、快適な環境下で飼養するアニマルウェルフェアへの配慮を大前提に、「付加価値の高い商品開発も進めています」と角田氏。その第1弾として原材料提供だけでなく、自社オリジナルのプリンの開発を進め、2024年春からの販売を見込む。
「食を扱うこだわりの個店とのつながりも深め、安全・安心な食の提供を一緒に進めていければと考えています」と意気込む角田氏。新たな展開にも期待したい。
(「しんきん経営情報」2024年2月号掲載、協力/高崎信用金庫)